こういう話を聞くと悲しい
昨日読んだ大変悲しい記事.9/15付読売新聞より.台風12号災害時の那智勝浦での話です.
-----------------------------------------------------------
3日夜、降り続く雨が気になった主婦(59)は、県が災害情報を配信する携帯メールを何度も見て、地区には避難指示が出ていないのを確認し、自宅1階で夫と就寝。娘2人は別室にいた。
4日午前1時過ぎに目覚めて廊下に出ると、玄関に水が入って靴が浮いていた。すぐに引くと思って、いったん横になったが、同2時頃、布団に水が染みこんできた。「起きて」と叫んで家族を起こした。停電で暗い中、40分ほどすると壁とガラスが音を立てて割れ、泥水がどっと流入。「上がれ、上がれ」。4人で2階に逃げ、夜を明かした。
主婦は「1階の家具に残った跡で、水が首より上に来たとわかり、ぞっとした。避難指示があれば間違いなく逃げていた」と話す。
-----------------------------------------------------------
ここでは,災害発生を心配して,防災メールを確認するという形で,能動的な情報収集行動がとられています.しかし,「避難指示が出ていない」ということが「逃げなくてよい,安全である」という,「安心情報」として受け止められていたように記事からは読み取れます.
「避難勧告・指示が出ていない」という状況,情報は,「安全である」という情報を直接的につたえるものではありません.しかし,暗示的に「安全である」と解釈されてしまうことはあり得ます.こういった情報の伝わり方をメタメッセージという場合もあるようです.
避難勧告が出ていないから逃げなくてよいということではない,ということを,どう伝えていけばいいか.難しい問題です.
« 10/13のNHK「クローズアップ現代」に出演 | トップページ | 台風2011年12号による死者・行方不明者の特徴-第2回現地踏査を踏まえて- »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 2021年 新年のご挨拶(2021.01.01)
- 水害時 避難イコール避難所Go! だけ,ではない(2020.04.07)
- 時評=災害教訓に学ぶ難しさ 多くの事例収集重要(2019.09.30)
- 時評=大雨の際の避難行動 流れる水に近づくな(2019.07.31)
- 「大雨警戒レベル」に関する補足的なメモ(2019.06.03)