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2011年11月 1日 (火)

ちゃんとした調査?

よくある誤解に,「ちゃんとした調査」とはアンケートなどで数値を取ること(定量的)だ,という理解があると思います.しかし,人や社会の現象を数値で「定量化」することがいい調査であるとは言えません.数値にならない質的データを系統立てて記述,分類することも「ちゃんとした調査」です.

では, 「ちゃんとしていない調査」とはなにか.調査者の主観にもとづいて,特に根拠がなく結論を導く(調査結果からは明示できない・あるいは調査していないけど,この人達はきっとこう考えているのだと私は思う,的な)ような調査だと私は思います.

アンケートなどで,「回答者はこう考えている」という結果を示すことは比較的容易です.しかし,「なぜそう考えているか」を示すためには,その「なぜ」を把握するためにあらかじめアンケートを設計していない限り,困難です.設計していてもなかなか明快にはいきません.

アンケート結果をメディアに紹介すると,きまって「なぜそうなったのでしょうか」と,聞かれます.その「なぜ」には答えられないことが多い.しかし,記者は食い下がり,何かを引き出そうとします.それを拒否すると,記事にはしてもらえません.

「この調査からここまでは言える.その理由についてはこの調査では分からない」というのが,調査結果を人に示すときの基本だと私は思います.理由についての意見があれば,それはあくまでも仮説として語るべきですが,このあたりはメディアに取り上げられるときには欠落してしまいますね.

災害情報の「改善」には,Aという情報に問題があり,Bという情報の方がいいとなぜ言えるのか,根拠を示すことが必要と私は考えます.そのためには,根拠を調べるための「ちゃんとした調査」が必要です.

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