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2011年12月17日 (土)

津波対策用の看板のための標高を読む方法メモ

最近,津波防災対策の一環として地盤高(「標高」,「海抜」と同義)を看板で示すという話が各地ででいます.そこで問題となるのが標高をどう読むかです.特定の地点の標高をある程度正しく把握するのは意外に面倒です.一般的な地図で表記されている値と大きく乖離しないで標高を読み取る方法を私なりに整理してみました.

1.電子国土ポータル http://portal.cyberjapan.jp/ で1:2500の地図を見る.示されている標高点の近傍に看板をつける
→○一番単純確実
→×標高点は至る所にはないのでつけられる場所が限られる

2.役所で1:2500都市計画図(紙)を入手する.標高点だけではなく,等高線が入っているので,等高線から必要な場所の標高を読み取る
→○都市部ならどこでもできる.読み取るための機材はいらない.
→×地図を読む訓練が少し必要.とはいえ,少し練習すればできる人は多そう.

3.カシミールで50mメッシュ標高データと電子国土1:2500を重ね合わせて必要な地点の標高を読み取る
→○一度パソコン上に環境を作ってしまえばどこでも簡単に読める
→×カシミールに習熟する必要あり.標準的なインストールではできない.重ね合わせは少しだけ手間がかかる.標高がやや荒い.

4.カシミールで基盤地図情報数値標高モデル(5m or 10mメッシュ)と電子国土1:2500を重ね合わせて必要な地点の標高を読み取る
→○一度パソコン上に環境を作ってしまえばどこでも簡単に読める.標高の精度は紙の1:2500の等高線から読むのとほぼ同程度.
→×カシミールに習熟する必要あり.標準的なインストールではできない.基盤地図情報の読み込みは少しだけ手間がかかる.重ね合わせは少しだけ手間がかかる.

5.カシミールで50mメッシュ標高データと1:25000地形図を重ね合わせて必要な地点の標高を読み取る
→○一度パソコン上に環境を作ってしまえばどこでも簡単に読める.標準的なインストールで読み取れる.山間部でも対応可能.
→×カシミールに習熟する必要あり.位置があまり細かくはとれない.標高がやや荒い.

・1~4の方法の場合,1mの精度で標高を読むことは十分可能.2と4の方法を併用するとより正確な読み取りができる.
・山間部の場合は1:2500図がないので,5の方法のみ(または紙の1:25000地形図から読み取り)となる.

・もし0.1m単位での標高が必要なのであれば,何らかの方法で測量する必要がある.しかし,津波防災用の看板の場合,標高の値は1m単位で十分でしょう.
・もし教育目的ならば,地図の読み取りとハンドレベルでの簡易測量を併用することも悪くはない.

●やってはいけない方法
だめ1)ハンディGPSで示される標高を読み取る.±10m位の誤差を覚悟してください.標高10mのところが標高0mと表記されてもいっこうにおかしくありません.

だめ2)GoogleEarthで読み取る.使用されている標高データの空間解像度が低いので,±10m以上のずれが簡単に生じます.海岸付近に斜面が迫っているところなどは致命的.

だめ3)気圧高度計で測る.気圧高度計がどういうものか熟知している人なら別ですが,一般的にはおすすめしません.「高価な高度計を買ったのにマイナス100mとか表示される!」とか怒る人には絶対に勧めません.

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