「陸前高田市における人的被害の特徴(速報)」を公表します
静岡大学防災総合センター牛山研究室では,岩手県陸前高田市役所の協力を得て,東日本大震災にともなう同市内の人的被害(犠牲者)に関する解析を進めている.今回,犠牲者居住地に関する集計結果が得られたので,速報として報告する.なお,データについては現在精査を進めており,今後集計結果が変化する可能性がある.
主な結果を要約すると以下の通りである.
- 陸前高田市の死者・行方不明者数は1月13日現在1852人.浸水域人口に対する犠牲者率は11.13%で,宮城県女川町(11.63%)に次いで多い.この犠牲者率は近年の日本の自然災害としては極端に高いが,岩手県内では明治三陸地震津波時の犠牲者率よりは低い傾向にあり,陸前高田市も同様である.
- 標高が低く(平均標高5m以下),人口密度の高い(おおむね1000人/km2以上)地区で犠牲者率が高い(おおむね20%以上)傾向が見られる.
- 海岸近くでも,標高が高く人口密度の低い地区では犠牲者率が低く,標高が低く人口密度も低い地区も同様である.
- 陸前高田市では,海岸近くの低地にもともと定住人口が少なく,海岸近くの低地(想定浸水深が深い)場所で犠牲者率が低い(あるいは高い)といった傾向は読み取れない.