個人でもできる降水量の測り方 -やや正確に-
ある程度正確な降水量を、簡単に観測するための道具として、いろいろな簡易雨量計が提案されているが、市販されているものはないようである。筆者が試作した簡易雨量計は、科学実験用のポリエチレン製ロートの管の部分に、カーステレオなどの防振用として市販されている粘着テープを巻きつけ、清涼飲料水の1.5リットル入りペットボトルに取り付けたものである。これに貯まった降水を、100mlメスシリンダーで計測し、次式によって降水量に換算する。
P=(V/πr^2)*1000
P:降水量[mm]
V:観測値[ml]
r:ロートの半径[mm]
この簡易雨量計は、一般的な転倒ます式雨量計との比較観測の結果、降水量10mm以上の場合では、転倒ます式雨量計に対する観測誤差が±10%以内となった。降水量の少ない時には、転倒ます式雨量計の観測値にもばらつきが生じ易いことを考えると、この簡易雨量計は豪雨時などにまとまった雨量を観測するには十分実用的である。しかし、簡易雨量計の観測値を元に月降水量や年降水量を算出するには注意が必要である。
簡易雨量計の材料のうち、ロートとメスシリンダーは理化学器材専門店のほか、薬局などで購入できる。店頭に揃えている薬局は多くないようであるが(96年5月に長野県伊那市内で調査したところ、薬局薬店全27店中、常備は1店のみ)、取り寄せることは多くの場合可能なようである。学校の理科担当教員に問い合わせることも有効かと思われる。
なお、降水量は、測器による誤差以上に、測器の置かれている条件による観測値への影響が大きな問題となる。屋上などの高所や、障害物に囲まれた場所などでは降水量がかなり少なめに観測される場合がある。なるべく見通しのいい平らな場所で観測することが望ましい。これは、簡易雨量計であれ、市販されている雨量計であれ、同様の注意点である。
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