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2012年9月 8日 (土)

9月6日付け静岡新聞の記事について(反論)

9月6日付け静岡新聞の記事(本稿最後に引用)ですが,私のコメントに関し,意図と異なる書かれ方になりましたので反論を書いておきます.

この記事を読むと「(牧之原市で行われたワークショップ的取り組みは)素人のみの計画策定でありけしからん.俺様のような専門家を加えて議論をすべきだ」という感じにも読み取れます.とんでもない話で,私はこんなことは言っていません.

この取材に対しては,ワークショップ的な取り組みに関しての質問があったので,一般論として素人のみの計画策定になりかねないという課題があり,住民「だけ」でなく,市町村職員(防災担当),市町村技術系職員,県,気象台,国交省などのさまざまな専門的視点を持った人が加わった議論がのぞまれる,と回答しました.

牧之原市の取り組みについて私は詳細を知っているわけではないですし,取材でも詳細は知らされませんでした.したがって,一般論としてコメントをしたまでです.しかし,牧之原市の取り組みに「課題がある」と読めそうな記事になってしまいました.

「専門家」という言葉の意味もすり替えられてしまいました.研究者だけが「専門家」だなどとは全く思っていません.

報道記事に関してはよくあることですが「やられた」という感じです.

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住民自ら津波防災プラン、市計画に反映へ 牧之原市沿岸各地区
2012/9/6 静岡新聞

 将来予想される巨大地震に備えようと、市民自ら防災計画を作る取り組みが8月末、牧之原市で始まった。津波で浸水する恐れのある市沿岸部の市民が「津波防災まちづくり計画」を策定する。東日本大震災後、市民主導の防災計画作りは全国でも行われていて、防災の専門家は「専門家の視点も必要」と提言する。
 同月27日夜、仕事を終えた会社員や主婦などが市内で行われた「津波防災まちづくり計画男女協働サロン」に顔をそろえた。「道幅が狭い」「ブロック塀が崩れる恐れ」「近くに高台がない」―。机に広げられた地図に、参加者が避難経路で気になった点をメモに記して貼っていった。
 市は2011年秋、市民と協働してまちづくりを推進する自治基本条例を施行。条例に基づき、巨大地震の津波で浸水するとされる市沿岸部5地区は、市民でつくる「津波防災まちづくり計画策定委員会」を設立。策定委員会は各サロンでの議論を元に、本年度末中に計画を作る。
 計画には避難マニュアルの策定や避難場所の設定のほか、避難階段や津波避難タワーの整備などを市に要請することも盛り込む。各地区の計画は市津波防災まちづくり計画に反映されるという。サロンに参加した松浦康雄さん(68)は「命を守る真剣さが出ていた。行政と一体になっていくことが大切」と手応えを感じた。
 静岡大防災総合センター副センター長の牛山素行准教授は「地域の意見を取り入れる利点はあるが、素人のみの計画策定になりかねない」と指摘した上で、「さまざまな専門的視点を持った人も加わった議論が望まれる」としている。

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