3月2日研究集会で当研究室関係の発表
3月2日(土),静岡で自然災害科学中部地区研究集会が開催されます. http://goo.gl/yZG5D 当研究室関係者からいくつか興味深い発表が行われますので,順次紹介します.
「テレビ放送における防災情報の伝達状況に関する調査」
○荒川修平(ふじのくに防災フェロー養成講座)、牛山素行(静岡大学防災総合センター)
全国のテレビ局で防災気象情報をどうに伝えているかの実態調査結果.速報テロップでは,警報や緊急地震速報はほぼすべての局で行われているが,土砂警や記録雨は放送しない局も.特に面白いのは,避難勧告・避難指示を速報テロップで伝えている局は6割程度にとどまるということ.「テレビに注意して避難勧告などの情報を集めましょう」は実は必ずしも期待できないということがわかりました.テレビで防災気象情報がどう伝えられているかの調査はかなり珍しいと思います.
「内水氾濫に対して設定した避難勧告発令基準の検証」
○塩崎竜哉(多治見市役所企画防災課)、牛山素行(静岡大学防災総合センター)
岐阜県多治見市での2011年台風15号災害時の避難勧告運用実例の紹介.2000年東海豪雨時の教訓を元に,避難勧告の具体的基準が決められており,このために2011年は2000年豪雨時より数時間早く避難勧告を出せたという報告です.単純な話のようですが,「避難勧告基準の具体的効果」が示されることは非常に珍しく, 貴重な報告です.
「原子力災害時の住民避難に関する教訓の分類・整理」
○神村典浩(静岡県危機管理部原子力安全対策課)、牛山素行(静岡大学防災総合センター)
福島原発事故の教訓(公表されている報告書等)を体系的に整理し,行政機関の部内資料として活用する「教訓集」としてとりまとめる過程を報告するものです.原発事故に限らず,災害時の「教訓」は,断片的なエピソードとして伝えられることは多々ありますが,検索が容易な「辞書」のような整理がなされることはほとんどありません.「教訓集の作り方」を提示しているもので,興味深い報告です.
「避難猶予時間に着目した三陸海岸における東日本大震災津波犠牲者の特徴」
○杉村晃一(静岡市役所上下水道局)、牛山素行(静岡大学防災総合センター)、本間基寛(京都大学防災研究所)、横幕早季(静岡大学防災総合センター)
静岡市の杉村晃一さんによる「避難猶予時間に着目した三陸海岸における東日本大震災津波犠牲者の特徴」.岩手・宮城県内5市町の津波犠牲者の住所情報を元に,「避難猶予時間」(自宅から高台までの歩行所要時間と津波到達時間の差)を,いくつかの条件下で計算したものです.結果的に「避難猶予時間が0分以下」つまり,時間的にみて逃げ切れなかった人は岩手県内ではほぼ確認できず,地震発生直後(2~5分以内)に避難開始していれば犠牲者の多くは遭難に至らなかった可能性があることが示唆されました.過酷な話ですが,こういう話にも向き合わねば・・・
« 平成24年7月九州北部豪雨による人的被害の特徴 | トップページ | 過去にもあった平地部の吹雪に伴う遭難事例 »
「発表・講演」カテゴリの記事
- 2012年度に当研究室関係で行った学会発表の予稿をweb公開(2013.03.30)
- 3月2日研究集会で当研究室関係の発表(2013.03.01)
- 平成24年7月九州北部豪雨による人的被害の特徴(2013.01.30)
- 日本自然災害学会を終えて(2012.09.22)
- 【講演】 3月3日:長野県茅野市 3月11日:静岡県袋井市(2012.02.28)