特別警報ができても,警報が格下げになったのではありません
注意報・警報の上に「特別警報」 閣議決定、秋にも新設(朝日新聞) goo.gl/DucYS 有料版記事だとこの後に私のコメント「特別警報が出るまで逃げなくていい,と思ってしまうリスクもある。気象庁によるいっそうの説明が必要」などと書かれています.
気象庁によるリリース→ 気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案について goo.gl/sKX3B 資料は goo.gl/yCm1C が明示的でしょう.
「特別警報」について,気象庁関係者から話を聞いたところでは,「従来なかった全く新たな情報が新設される」というものでは(必ずしも)なく,従来もあった警報等の中で最も深刻度が高い情報を「特別警報」としてより強い情報として制度的(法的)に明確に位置づけることと私は理解しています.
つまり,たとえば「津波特別警報」のような,従来なかった名称の情報が新たに出されるようになる,という意味ではありません.「またわけのわからんへんてこな情報が増えた」という解釈は,今回の場合は適切ではないと私は考えています.
津波に関しては,大津波警報が「特別警報」として扱われ,火山に関しては噴火警報(レベル4,5)が「特別警報」として扱われることになるのではないかと理解しています.
気象警報については少し事情が変わります.従来ある大雨警報等が「特別警報」として扱われることはなさそうです.大雨や土砂などの気象警報において具体的になにが「特別警報」となるかは,今後「防災気象情報の改善に関する検討会」 goo.gl/gtJYp などで議論されることになるのではないかと予想しています.
いずれにせよ「特別警報」の制度ができたとしても,従来の「警報」の意味が変わることは全くないことに十分な注意が必要です.
つまり,「警報が警告する事態の深刻度が弱くなった」ということは絶対にありません.各機関や個人レベルで,従来,警報が出たら何らかの対応を取っていたやり方(学校を休校にするとか)を変える必要性は全くありません.
「特別警報」に相当する情報が出る頻度は,最も高頻度に出る可能性がある気象警報(大雨や土砂)の場合でも,おそらく,「日本全国のどこかで1年に1,2度出るかどうか」くらいになるとおもいます(記録的な大雨に関する気象情報の頻度から goo.gl/K1r6R ).1市町村を単位とすれば,「今後50年間特別警報未経験」ということもありそうです.
したがって,「特別警報が出るまで様子を見ていればいい」という考え方は全く間違いだと私は思います.特に気象警報においては,特別警報が出るタイミングは,「すでに手遅れ」もしくは「極めて深刻な事態が進行中」であることも多いと思います.「大変なことになっているんだ,認識してくれっ!!!」というのが「特別警報」だと思います.
私自身は,「特別警報」という制度自体には否定的には受け止めていません.つまるところ,「その情報がどう使われるか」ですから.
特別警報ができても,警報が格下げになったのではありません.全く,絶対に,ぜーったいにありませんっっっっ.これから何年間も,何度も何度も,くじけずに,私はこれを言い続けるのでしょうね…
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