防災気象情報に関するアンケート(2013年 警報のレベル化等)の結果概要公開
このたび,当研究室で実施した「防災気象情報に関するアンケート(2013年 警報のレベル化等)」の結果概要を公開しました.
この調査結果は,当方も委員として参加している気象庁の「防災気象情報の改善 に関する検討会」での検討のための基礎調査として当方が独自に行ったもので, 現在議論されている,気象警報のレベル化などに対して,情報利用者がどのよう に考えているかなどを調べたものです.4日22日午後に気象庁で行われる同検討会で報告の予定です.また,結果の一部は4月21日のNHKニュース7,4月22日18時からのNHKラジオ第一のニュース,22時からのNHKラジオ第一のラジオジャーナルで報じられる予定です.
報告書・素集計表
http://www.disaster-i.net/notes/130422report.pdf
概要スライド
http://www.disaster-i.net/notes/20130422p.pdf
●調査目的
筆者らは以前から,豪雨災害の被災者や,市町村防災担当者を対象にリアルタイム雨量・水位情報等の認知,利用実態,利用意向についての調査を行っており,これらの情報があまり認知されておらず,認知されても必ずしも積極的に利用されないことを示唆してきた.前回この観点からの調査を行ったのが2010年であり(牛山ら,2010),既に3年あまり経過した.近年,新たな防災気象情報の整備や,警報体系の改変の検討が行われつつあり,近年のリアルタイム雨量・水位情報や,各種災害情報に対する認知状況,利用意向について調査した.
●背景・調査手法
- インターネット社会調査サービスのgooリサーチを利用した調査.2004年,2007年,2010年にも類似の調査を実施しており,今回が4回目.
- 対象者は,盛岡市(近年大きな豪雨災害がない),静岡市(地震災害が強く警告されているが近年大きな豪雨災害はない),名古屋市(2000年・2008年に市内で数千~数万棟の浸水被害が発生)の在住者.回答依頼メールは2013年3月1日に配信,有効回答数は547件(盛岡173,静岡186,名古屋188).
●主な結果
- 豊富な雨量・水位情報を提供している「川の防災情報」は8割の回答者が認知しておらず,2004年,2007年,2010年の結果とほとんど変わらない.全国の河川水位が公開されていること自体も,7割の回答者が認知していない.
- リアルタイム雨量・水位情報の存在を認知しても,積極的な利用意向は1割程度.過去の調査とほぼ同様な傾向.
- 気象警報の意味を正しく理解しているのは43.1%.回答者の42.2%は警報の地域区分の大きさを現実より粗いと認識している.
- ネット利用者を対象とした調査でも,気象警報を入手する最も主なメディアとしてはテレビを挙げる回答が最多(69.5%).
- 土砂災害警戒情報という語を見聞きしたことがある回答者は51.9%,情報の意味を適切に理解している回答者は40.8%.
- 記録的短時間大雨情報という語を見聞きしたことがある回答者は45.2%,情報の意味をおおむね適切に理解している回答者は63.1%.
- 「これまでに経験したことのないような大雨」という語を見聞きしたことがある回答者は55.9%,情報の意味をおおむね適切に理解している回答者は66.0%.
- 「レベル」の数値が大きい方が危険度高いことは97.3%の回答者が認識.まとまった被害が出るのはレベル3以上と認識している回答者が96.9%で,52.3%はレベル5と回答.
- 「土砂災害特別警報」などの「言葉」での情報よりも「レベル」情報の方が,「すぐに避難」と回答する率が高くなる傾向だが,「レベル5」でも53.9%.
- 「言葉」での情報よりも「レベル」情報の方が理解しやすいとの回答が49.7%.
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