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2013年8月 3日 (土)

「特別警報相当」の現地市町での受け止め方について

7月28日の山口・島根豪雨時に発表された「特別警報相当」である「記録的な大雨に関する気象情報」が現地市町村にどう受け止められたかについては,7月30日付読売新聞に関係記事が見られた.まず関係箇所を引用します.

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[7月30日付読売新聞]
 従来の警報、注意報では、市町村による住民への周知は努力義務だったが、特別警報では義務になる。今回、多くの被災自治体は特別警報が発表される前に避難勧告を出しており、特別警報を住民に周知していなかった。
 山口市は、28日午前10時に阿東地区2588世帯6099人に避難勧告を発令し、防災無線などで周知したが、約1時間20分後に気象庁が特別警報を発表した後も特別な注意喚起はしなかった。市防災危機管理課の担当者は「避難勧告を出した後で、新たな呼びかけをする認識はなかった」と話す。
 同様に改めて注意喚起しなかった島根県益田市は「特別警報は報道で認識していたが、正式な情報提供ではなかったので、特別警報を住民に周知するという判断を勝手にするわけにもいかなかった」(危機管理対策課)と語り、突然の運用に戸惑いも見せた。
 一方、山口県萩市は避難勧告を出すとともに防災メールを通じて「非常に危険な状態。浸水や土砂災害に備え、命を守る行動をお願いします」という強い文言で市民に注意を呼びかけた。
 その後、特別警報が出されたが、市防災安全課は「甚大な被害が出る前に危険性を周知しなければ意味がなく、市の判断で強い文言で注意を促した。先手先手で対応した」とした。
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以下,あくまでも,この報道が自治体の回答をそのまま正確に伝えているという前提での論評です.

山口市は,避難勧告を出した後に「記録的な大雨に関する気象情報」をうけとり,すでに自治体として極めて強い情報である避難勧告が出ている状況下で,あらためて「特別警報相当」で注意喚起をする必要性を認めなかった,という判断と読み取れる.このような判断は,実際の運用場面では有りだと私は考えます.

萩市は「記録的な大雨に関する気象情報」を住民に伝えたのかどうか,上記記事では不明瞭ですが,アーカイブが残る萩市防災メールを見る限りでは,明示的に「記録的な大雨に関する気象情報」が出たことを伝えてはいません.しかし,山口市と同様に,「記録的な大雨に関する気象情報」以前に避難勧告を出し,その中で強い表現で危険を告げていることから,ことさらに「記録的な大雨に関する気象情報」を伝えなかったという対応も,私はやはり有りだと思います.

益田市の「特別警報は報道で認識していたが、正式な情報提供ではなかったので、特別警報を住民に周知するという判断を勝手にするわけにもいかなかった」という発言は,もし本当にこの文言通りの発言だったとしたら,大変残念な発言だと思います.「記録的な大雨に関する気象情報」は,少なくとも防災情報提供システム等で自治体には「正式に」伝達されているはずで,それが認識されなかったとすれば,残念と言うしかありません.

「特別警報相当を住民に伝えなかった」という「形式」を単純に批判することは適切だとは思えません.要は,極めて危険な状況であることを知らせることが重要なわけで,「特別警報」等の情報はあくまでもそれをサポートする一手段に過ぎません.

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