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2013年9月 7日 (土)

2013年は豪雨が多いのか

「今年は豪雨が多いのか」と聞かれてうまく答えられなかったので簡単な集計を実施しました.そもそも「豪雨」の定義が簡単ではないですが,短時間の強い雨という意味での1時間降水量と,まとまった雨という意味での日降水量は一つの指標になり得ます.以下の集計は,アメダスの2013年9月4日までの記録を元にしたものです.

下図は,アメダス全地点で1時間降水量80mm以上が記録された回数の年別推移です.2013年は1年の2/3が経過した時点ですでに1979年以降の各年の記録回数の中でも上位となっています.短時間の豪雨がやや多めの年と言っていいでしょう. pic.twitter.com/zqVzlMbSKg

下図は,アメダス全地点で日降水量200mm以上が記録された回数の年別推移です.こちらは,2013年はかなり記録回数が少ない年となっています.今年は,短時間の豪雨は多いが,まとまった雨が降っていないことを示します.これは私自身の実感とよく合います. pic.twitter.com/vJtZWCTWTb

アメダスが現在の形にほぼ整備されたのは1978年度です.従ってアメダスの均質な統計値の蓄積は35年分ほどです.「観測史上最大を更新」といわれる場合は,たいていこの三十数年間の最大値を更新したという意味です.「観測史上最大を更新した回数」は,その観測網が構築された直後は極端に多くなります.ある程度蓄積が進まないと「観測史上最大を更新した回数」は情報として意味を持ちません.

アメダスが整備されて約20年後の1998年以降について,降水量の最大値が更新された回数をグラフにしたのが下図です.「1年の間に同地点で複数回更新」された場合は「1回」と集計しています.このことは,全般的な傾向に影響はないとは思います.2013年は1時間降水量の更新回数がやや多め,24時間,72時間は極めて少ないと言えます. pic.twitter.com/ezrWCWa1sI

最大値更新回数のグラフが,全体として経年的に減少傾向を示しているのは,当たり前です.統計期間が延びると最大値は更新されにくくなりますから. 

激しい現象を表す指標として「最大値更新」は有効だと思います.ただ,統計期間が延びるほど更新はされにくくなりますから,平年値と同様に「30年間最大値更新」などとするのがいいと思います.アメダスはまだ30年あまりしかデータがないから,いまのところは全期間で十分と思います.40年くらいたまったらまた考えればいいでしょう.

下図は豪雨による被害の経年傾向です.2010年までは気象庁資料,2011年以降は消防庁資料です.2013年は9月上旬までの消防庁資料による暫定集計値です.2013年は人的被害,主要な家屋被害ともに今のところかなり少ない状況といっていいでしょう.「豪雨災害は激化」していません. pic.twitter.com/u6LP4Elt1J

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