静岡大学防災総合センターでは,気象庁の協力を得て,今年11月に実施した「防災気象情報に関するアンケート」結果を公表しました.このアンケート調査は,今年9月16日に「大雨特別警報」が発表された福井県,滋賀県,京都府の住民などを対象にインターネットを通じて実施したものです.
牛山作成の参考資料・アンケート素集計結果
http://www.disaster-i.net/research3.html
防災気象情報に関するアンケート(2013年11月 大雨特別警報等) 報告書
http://www.disaster-i.net/notes/131212report.pdf
概要は以下の通りです.
●背景・調査手法
- インターネット社会調査サービスのgooリサーチを利用した調査.
- 2013年9月16日に大雨特別警報が発表された,福井県,滋賀県,京都府と,2012~2013年の間に特別警報等の情報が出ていない静岡県の在住者のうち,(洪水)浸水想定区域周辺の在住者.
- 回答依頼メールは2013年11月21日に配信,有効回答数は1192件(福井県260,静岡県311,滋賀県311,京都府310).
●主な結果
- 気象警報の意味を正しく理解している回答者は44.7%.警報の地域区分を正しく理解している回答者は43.8%.警報発表回数を現実より多く認知している回答者は14.3%.少なく認知している回答者の比率は府県により大きく異なる.
- 土砂災害警戒情報という語を見聞きしたことがある回答者は71.1%,情報の意味を適切に理解している回答者は43.5%.
- 大雨特別警報という語を見聞きしたことがある回答者は76.3%,情報の意味を適切に理解している回答者は40.2%.
- 大雨警報の位置づけが従来と変わっていないと正しく認知している回答者は39.8%.従来より強い雨の時に発表されるようになったと誤認している回答者が33.7%.
- 大雨特別警報の発表条件を緩和する(発表回数を増やす)方がよいとする回答者が60.4%、ただし明確に「緩和すべき」は17.3%.
- 気象警報を入手する最も主なメディアとしてはテレビを挙げる回答が最多(64.8%).
- 大雨特別警報発表時に,自家用車移動,避難所避難,避難所以外への避難,外出中止・変更の対応行動をとる意向を持つ回答者は5割前後.
- 9月16日の大雨特別警報を発表直後に認知した回答者は40.3%.福井県では直後の認知は29.6%とやや低く,発表自体を知らなかった回答者が27.3%.
- 大雨特別警報発表をいちばん最初に知ったメディアはテレビの55.4%が最多.テレビの率は福井67.2%,滋賀57.6%,京都45.1%.京都ではエリアメールが21.1%.
- 今回の規模の災害時に大雨特別警報が出たことは89.9%が「適切」「どちらかと言えば適切」と評価.「適切」だけでも50.6%.
- 9月16日の大雨特別警報発表時に,自家用車移動,避難所避難,避難所以外への避難の対応行動を行った回答者は2%以下.[外出中止・変更]でも1割程度.
※本報告は速報としてとりまとめたものであり,今後修正される場合があります.
※丸め誤差により,集計表やグラフに示された比率の合計が100.0%とならない場合があります.
※本調査の一部は,環境省環境研究総合推進費(S-8),科学研究費補助金「客観的根拠に基づく津波防災情報及び豪雨防災情報のあり方に関する研究」,科学研究費補助金「平成25年台風26号による伊豆大島で発生した土砂災害の総合研究」,文科省社会的システム改革と研究開発の一体的推進事業「災害科学的基礎を持った防災実務者の養成」の研究助成によるものです.