1974年静岡県下の「七夕豪雨」を巡って
1974年7月7日夜から8日未明にかけて,静岡県内は梅雨前線の活動が活発化し静岡地台の24時間降水量508mmなどの豪雨(「七夕豪雨」)に見舞われました. goo.gl/oUiOhu
七夕豪雨時の(現)静岡市内の死者は27人,内訳は,土砂災害21人,洪水・河川3人,不明3人.七夕豪雨は洪水の印象が強いですが,犠牲者のほとんどは土砂災害に起因するものです.
「大自在」文中にある「豪雨と闘う〜『七夕』から40年」連載はおもしろい記事で,6日付け記事では防災フェローで静岡地台の遠山さんの話(と私の話)も載っています.関係箇所を引用します.
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わずか1日で508ミリの雨が降った―。1974年7月7~8日、静岡地方気象台(静岡市駿河区)は、40年後の今も破られていない、同気象台史上最大の24時間雨量を観測した。七夕豪雨は特殊だったのか。「条件が重なれば、七夕豪雨を超える大雨になっても不思議ではない」と、遠山忠昭予報官(54)は説明する。
<中略>
気象台は24時間態勢で気象観測に当たり、警報などの防災気象情報を出す。新しいレーダーや気象衛星が導入され、観測精度や予測技術は七夕豪雨の当時に比べて格段に進歩した。遠山予報官は、七夕豪雨を上回る「最悪のシナリオ」もあり得るとして、「情報に敏感になり、身の安全を図ることが大切」と訴える。
一方、自然災害の調査・研究に取り組む牛山素行静岡大防災総合センター教授(災害情報学)は、七夕豪雨での浸水や土砂崩れの被害が「起こるべき所で起きた」とみる。この40年間に進んだ放水路建設などのハード対策を評価しながら、こうも指摘して警戒を促す。
「大雨がもっと集中したり突出したりしたら、どうなるか分からない。中小規模の災害は起きにくくなっているが、地形的に脆弱(ぜいじゃく)な場所は昔と変わっていない」
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今だったらこの回は,「まじめに防災に取り組んでいる人たち」とかから「不謹慎だ」とか言われて「コミック収録自粛」とかになるのでは?,と思ったりします.堅苦しい世の中になるばかりです.私は「まじめに防災に取り組んでいる人たち」みたいに意識が高くないので,洪水を見に行く「普通の人」の方に共感します.
ちびまる子ちゃんコミックス2巻 goo.gl/TCvQQG には,静岡の学校での「地震避難訓練」の様子が,大変冷めた目で描写される「避難訓練に余念のない県民の巻」が収録されており,こちらもとてもおもしろいです.
「避難訓練に余念のない県民の巻」では,教室から「避難」する際に無駄口をたたいて「命に対する真剣さが足りんっ」と先生に怒鳴られ,[今の学校では許されない指導方法を執行]される少年が描かれる.私はこの少年を擁護したいところです.
ちびまる子ちゃんコミックス2巻 goo.gl/TCvQQG は,現代では言いにくくなってしまった,「普通の人がいろいろな先入観なく災害に向き合う姿」が表現されていて,私のような「普通の人」にとって,とても貴重な防災教材だと思います.
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