« 2014年7月 | トップページ | 2014年9月 »

2014年8月28日 (木)

広島豪雨災害・死者・行方不明者数について(8/25時点の所感)

NHK報道から,広島豪雨災害犠牲者 goo.gl/6gJK2E および行方不明のおそれのある人 goo.gl/LoCMSS の年代が確認できる.NHK報道によれば,身元確認犠牲者46人,行方不明のおそれのある人28人,計74人.年代で分けると60代以上が38人(51%).人口構成比から見ると高齢者に被害が集中と言えるが,最近の全般的な傾向と比べると,今回の高齢者の比率はやや低いように思われる.

筆者調査の2004-2010年の風水害犠牲者387人対象の集計によると,犠牲者全体では60代以上が65%,土砂災害限定だと70%.今回は,近年の風水害としては,比較的青壮年層の犠牲者の比率の高い事例となった可能性がある.

筆者調査の詳細はこれ→ 牛山ら:年齢別にみた近年の豪雨災害による犠牲者の特徴,自然災害科学,Vol.30,No.3,pp.349-357,2011. goo.gl/lHTMdP

極めて暫定的な解析.2004-2011年の土砂災害犠牲者発生位置(1kmメッシュ)の人口と,その事例時の犠牲者数の関係.「都市部の土砂災害では犠牲者が多い」みたいな関係は見えない.やはりあまり単純なものではないね・・・ pic.twitter.com/P0JoLWTLdL

2004-2011年の土砂災害だと,都市部での発生というものがそもそもほとんどないので,傾向がわからない,という面は大きそう.また,犠牲者数が1kmメッシュで数人くらいなので,ちょっとした要素に引っ張られて傾向が見えにくいことも.人が絡む情報というのは,純自然科学的なデータよりさらに扱いが難しい.

先ほどあげた土砂災害犠牲者発生場所についての基礎資料は,これを書いた時に作ったもの→発生場所別に見た近年の豪雨災害による犠牲者の特徴,災害情報,,No.11, pp.81-89,2013. goo.gl/sMNhl

居住地の風水害の危険性に対する住民の認識について

 広島での土砂災害を経て,土砂災害警戒区域など,地域の災害特性を示すハザードマップ的情報に対する関心が高まっているように思えます.土砂災害警戒情報,洪水の浸水想定区域などの情報は,ハザードマップなどの形で公開が進んでいます.しかし,自分の居住地でどのような災害の危険があるかについての理解は,必ずしも進んでいない可能性があります.

 このことについて,昨年末に調査した結果が論文としてまとまり,その概要を9月24-25日に鹿児島大学で開催される日本自然災害学会で発表予定です.当該論文の校正原稿を公開します.

牛山素行:大雨特別警報に対する洪水浸水想定区域付近の住民の認識,自然災害科学,特別号,(掲載決定),2014.

 ここで報告した調査は,土砂災害警戒区域ではなく洪水の浸水想定区域ですが,土砂災害警戒区域に対する認識と共通するところはあるのではないかと思います.調査対象は,昨年9月に大雨特別警報が発表された京都府,滋賀県,福井県の在住者のうち,浸水想定区域及びその周辺に居住している人です.詳しくは論文をご覧いただければと思いますが,下記のような結果が得られています.
  • 居住地の洪水災害に対する危険性について,危険側の選択肢(「危険」または「やや危険」)を選択した回答者は2 ~ 3 割程度で,自宅が大雨の際に浸水する可能性について,危険側の選択肢(「可能性は非常に高い」または「可能性は高い」)を選択した回答者は1 ~ 2 割。
  • 浸水の危険性について,危険側の選択肢を選択した回答者は,9 月16 日の大雨特別警報発表時の対応行動や,今後の大雨特別警報発表時の対応意向について,安全側の回答者に比べると対応がやや積極的である傾向がみられた。
 居住地の危険性を理解することの重要性が示唆されますが,危険だと考えている人とそうでない人の差はそれほど大きいものではありません.「危険だと知らされていれば被害を減らせたのではないか」と考えたくはなるでしょうが,知られてさえいればよかったとまでは言えないように思われます.

2014年8月24日 (日)

広島豪雨災害・避難所での犠牲者について

安佐北区可部町桐原.「山田自治集会所」付近.土石流により集会所1棟のみが完全に流失.土砂災害時には使用しない避難場所として挙げられており,避難していた1名が死亡した模様. pic.twitter.com/oopL9D08VY

その他の写真はhttp://goo.gl/ksbgLK にも掲示.

山田自治集会所は,広島市により「避難場所(候補施設)」として挙げられていた.「候補施設」とは耳慣れない言葉だが(けしからんと思いません),広島市webの説明によると下記の通り. pic.twitter.com/ISlRRWGENS

広島市では「避難場所(候補施設)」のほかに「生活避難場所」と「広域避難場所」を挙げている. goo.gl/lGNoaZ 「避難場所(候補施設)」は未確定の施設のような語感だが,目的に応じて利用される避難所といった意味だろうか.「山田自治集会所」は,この「避難場所(候補施設)」で,高潮,洪水の際に使用する対象となっていた.この分類は適切でしょう. pic.twitter.com/95HZOOIzCh

時事通信は,「県危機管理課が運営する「広島県防災Web」では「避難所・避難場所」としてひとまとめに紹介されていた」と批判的に報じている. goo.gl/GBOk3w 確かに同webでは避難所の用途別分類はない. pic.twitter.com/OjhU0j048u

一方広島市の運用する「ひろしま地図ナビ」では,土砂災害時の避難場所としては山田自治集会所は表示されない.したがって,広島市が,山田自治集会所を土砂災害時に使用しない避難場所であることを「隠していた」とは絶対に言えない.  pic.twitter.com/q4iDqpze6A

山田自治集会所は,土砂災害警戒区域ではなかったが,土砂災害危険箇所(土石流)の範囲内にあった.これは「土砂災害ポータルひろしま」などで公開されている.したがって,山田自治集会所が土砂災害時に危険な場所であることも,隠されていたわけでは絶対にない.ただ,「土砂災害ポータルひろしま」では,避難所を用途別に表記しておらず,紛らわしいとは言える. pic.twitter.com/p34aXRjdlJ

風水害で,行政機関が何らかの形で避難場所として指定した場所で犠牲者が出たことは極めて珍しく,私の集計している最近10年間では初の例である.ただし,用途が限定されていたことから,単純に「避難所で犠牲者が出た」とは言えない.

山田自治集会所での遭難例は,東日本大震災時に各地でみられた「津波浸水想定区域外または想定浸水深より建物高の高い避難所で犠牲者が出た」こと,つまり「想定外の場所で避難所での犠牲者が出た」というケースとは全く異なる.決して,「想定外の現象」ではない.

「土砂災害警戒区域内に避難所を置いてはいけない」とは思わない.鉄筋コンクリート造の建物であれば,2階以上を使用するという条件付きで避難所として使用してよいと思う.

「特定の災害時には使用しない避難場所」という施設の使い方を徹底することはとても難しい.すべてのひとが「この避難所は何それの時には使用しない」ということを完全に理解することは非常に難しいだろう.

時間はかかるだろうが,「避難所は,あらゆる災害時に安全な場所ではない」ということを,せめて,防災に関わる情報を扱う人くらいには,完全に徹底することから始めるしかないだろう.

山田自治集会所の件については,私はこの避難所がどのように扱われていたかについての情報を持たないので,ことの是非については論評しない.公表されている情報から言えることを述べたのみで,この個別事案についてはコメントしません.

広島豪雨災害・死者・行方不明者数について(8/22時点の所感)

今回も,犠牲者の発生状況を詳しく調べる必要性を再認識.現時点で人数すら確定していないことは少し衝撃的だが,2011年紀伊半島豪雨の時も,人数確定や身元確認は1,2日ではすまなかった.
一般に,自然災害の死者・行方不明者数は,災害発生後数日間は増え続け,どこかでピークが生じてその後は減る.数カ月たつと,関連死者を加算して若干増える場合があるが,直後のピークを超えることはまずない.というのがここ10年ほどの状況.東日本大震災はすべてが通用しないが.
おそらく今は,「発表される死者・行方不明者数が増えるフェーズ」の数日間の中にあると思う.人数の大小についてはしばらく言及しないでおくことにする.
 
あくまでも一般論だが,「行方不明者」はご遺体として発見されて「死者」となるケースと,さまざまな誤認・ダブルカウント・災害以外の理由による死亡や失踪等により行方不明者でなくなるケースがあり,後者は決して少なくない.極端な例だが,東日本大震災の死者・行方不明者数(直接死)は,最も多く報告された数字に対して1万人近く減少した.
エリートバイアスとか言われそうだけど,ともかく,数字を慎重に見たいと思っているところ.

2014年8月21日広島豪雨災害現地調査雑感

2014年8月21日広島市現地踏査写真

安佐南区,安佐北区の限定的な範囲に土砂災害が集中.安佐南区八木付近では地上から視界内に目視で見える土石流らしきものだけで少なくとも4,5本以上.さまざまな規模の斜面崩壊も少なくない.土石流そのものの規模(長さ,幅)は特別に大きい感じはしない.

1_2 どなたかが書いていたが,2009年山口県防府豪雨災害の時の良く似た印象を持つ.谷出口付近で大きな被害が出ているのは,まさに1999年広島豪雨のデジャブの様.その意味で,住家の被害形態も今回新たに見られたようなものではない.
Yamamoto 安佐南区山本で,子供2人が亡くなった現場はいろいろな意味で悲惨.この被害をもたらしたのは幅10m長さ10m深さ数十cmで傾斜35度程度の小規模な斜面崩壊.たまたまこの崩土が住家を直撃し,1部屋分の壁を破って屋内に土砂が流入した.この付近には土石流は皆無で,斜面崩壊も他には明瞭なものは確認できなかった.緑井,八木付近とは全く異なる状況.被災住家は地区10年以内くらいの新しいお宅.補修により継続使用は可能と思われる被害程度.
3_2 今回の土石流などで浸食されて地層が見えている箇所が多くあるが,明瞭な土石流堆積物がよくみられる.これも1999年広島豪雨のデジャブ.申し訳ないが,「お宅は土石流の上に建っています」という状況.
そういえば,これは気象庁命名豪雨にしないのかな.つけるなら「平成26(2014)年8月広島豪雨」だろうか. うむ,一連の豪雨をまとめて「平成26年8月豪雨」と命名する可能性もあるか.昭和42年7月豪雨(死者・行方不明者369人),昭和47年7月豪雨(同447人)などの記録を読むと,「昨今の穏やかな災害」と比べると本当に地獄のような思いがする.
→実際に「平成26年8月豪雨」と命名された
平成26年7月30日から発生した豪雨の命名について

2014年8月20日の降水量関係・初日雑感

今朝のアメダス三入での2時間降水量181mm.2時間180mm以上というのはアメダス全地点の記録で見ると,精査できないけど少なくとも40回以上確認できる.全国的に見たら大きな記録ではない.24時間降水量は300mm以下で,さらに大きい記録ではない.しかし,これらの記録は広島市周辺としては大きな降水量.このため大きな被害につながったと考えられる.

今回の豪雨は,24時間降水量で見ると1999年豪雨と大体同程度.1時間,2時間降水量は少し今回の方が大きい.でもアメダスだけでもたとえば広島近隣の佐伯では1987/9/11に1時間87,2時間142,3時間196とかいう記録がある.今回の三入は同101,181,209.全く経験もしていないような雨かというと,難しいところ.無論,アメダス以外の記録はもっと激しい可能性もあるので,あまり「たいしたことない」というつもりはない.

川の防災情報掲載観測所だと,上原(安佐北区可部町上原)が最大か.アメダス三入より少し大きな値で1,2,3時間最大値は115,207,236. pic.twitter.com/FY4tZqNHrL

大林(安佐北区可部町大林字下毛山2137-2)は三入と同程度.1,2,3時間は,96,178,203. pic.twitter.com/yDuixoJodA

高瀬(安佐南区八木5-31-1)は三入より少し小さい記録.1,2,3時間が87,176,187. pic.twitter.com/vnbAJDZCrQ

2014年8月20日広島豪雨・初日雑感

広島県三入(広島市安佐南区)ではけさほど1時間,3時間,24時間降水量がすべて1976年以降最大値更新.特に3時間は101.0(1997/08/05) →195.5と倍近くに.

1999年広島豪雨では24時間200mm前後で大きな被害が出ており,この地域は(他地域から見れば)わずかな降水量でも大きな被害につながることがある.断片的な情報しか見えていないが,1999年広島豪雨と大変よく似た状況になっているように感じられる.

1999年の災害の話がよく伝えられているが,広島市周辺では,1988年,1972年にもまとまった土砂災害に見舞われている.

牛山素行:1901年以降の降水量から見た1999年6月29日広島豪雨の特徴,自然災害科学,Vol.20,No.1,pp.59-74,2001.  goo.gl/NTg2o

牛山素行・里深好文・海堀正博:1999年6月29日に広島市周辺で発生した豪雨災害の特徴,自然災害科学(日本自然災害学会誌),Vol.18,,pp.165-175,1999. goo.gl/wZCE7x

広島の土砂災害,救助活動中の消防職員が死亡されたと報じられている.私が調べている2004年以降の風水害犠牲者で,消防職員の犠牲者は2011年に1人のみ.厳しい事態であることが推察される.

あえて暴言するけど,バックビルディングだとわかったら犠牲者は減るんだろうか.ハザードの(細かな)メカニズムがわかると犠牲者は減るんだろうか.

広島の豪雨災害,36人死亡7人不明との報道.これが正しいとすれば,1市町村で発生した死者・行方不明者数としては昨年の大島町の39人を超え,平成5(1993)年8月豪雨時の鹿児島市48人以来となる.

風水害犠牲者の発生場所を「市街地」「非市街地」に分類すると,9割が「非市街地」で発生している→牛山素行・横幕早季:発生場所別に見た近年の豪雨災害による犠牲者の特徴,災害情報,,No.11,,2013. goo.gl/sMNhl

また「特別警報基準見直しの声」か? 1999年には土砂災害警戒区域も,土砂災害警戒情報もなかった.特別警報だけが情報じゃないんだ.今ある情報を最大限に使うことが先決じゃないのか.

被害の大きかったと思われる地区の土砂災害危険個所図.画像にしておくのが結局速いのか. pic.twitter.com/Bx2nXkXsUL

posted at 21:24:27

2014年8月20日 主要AMeDAS観測所の降水量

2014年8月20日の豪雨時の広島県の主要地点の1時間ごとの降水状況のグラフを示します.降水のピークは,8月20日の未明でした.降水継続時間はほぼ9時間程度で,特に03~04時の3時間に集中しています.
1 広島県三入
各観測所の今回の記録,既往最大値,全国アメダス最大値を比較した図を示します.合わせて,1999年6月29日広島豪雨時の最多雨域(国交省戸山,安佐南区沼田町阿戸)の記録も示します.1999年豪雨と比較して,1,2時間降水量はかなり大きくなっています.24,48時間は同程度,72時間は1999年の方が大きいです.いずれも全国最大には大きく及びませんが,これら地域としては大きな値となりました.
2 広島県三入
3 広島県三入(+1999年豪雨)

「1999年の時は梅雨の長雨で,今回はいきなり大雨」とかいった話にどうも違和感があって作図.実効雨量は時間的の前の雨量の影響を低減させて計算する積算雨量.式は私の論文だとこちらに goo.gl/udbsKUpic.twitter.com/slzlpjqN9w 確かに先行降雨は少なくて,8月19日夜の降り始め時点で48時間半減期実効雨量や土壌雨量指数は20mm台.

1999年の方が確かに先行降雨はあるけど,降り始めで48時間半減期実効雨量や土壌雨量指数は50mm前後.立ち上がりの時点での差は30mm位で,それほど違うとも言えない. pic.twitter.com/WEUlvYwQpa

読売新聞記事「[論点スペシャル]広島土砂災害」より

8月23日付け読売新聞の,当方インタビュー記事.こちらの考えていることをうまくまとめていただいたので,私の関係部分を引用紹介します.
--------------------------
[論点スペシャル]広島土砂災害
 広島市北部の豪雨に伴う土砂災害は、大規模な被害をもたらした。災害が変わりつつあるのか。我々は今後、どう向き合っていけばいいのか。災害研究の専門家に聞いた。〈本文記事1面〉
 ◆危険箇所に住宅密集
 ◇牛山素行氏
 今回の土砂災害を引き起こした雨は、記録としては大きな数字ではない。総雨量も3時間雨量も、全国の雨量の中では全く目立たない。どの程度の雨で災害が発生するかは地域によって違うので、今回の雨は広島にとっては非常に大きい雨だったとも言えるが、自然災害としては、そこまで激しいものではない。
 にもかかわらず、人的被害がここまで広がった要因として指摘するべきは、土砂災害の起きるような場所に、家がたくさん張り付いていたことだ。都市部の住宅密集地が山の近くまで広がっているのは、広島市の特徴だろう。
 21日に現場入りし、安佐南区の八木、山本地区、安佐北区の可部東地区などで被害の状況を確認した。谷筋を下った土砂が家を流す一方で、土砂が流れた場所から数メートル離れるだけで、状況は全く違っていた。土石流は谷筋に沿って流れ下るから、谷の出口から土砂の流れる方向に対して直角方向に、たとえ家1軒分でも避難しなくてはならないということだ。最近は、洪水なら2階に避難するのも次善の策として容認されると強く言われるが、土砂災害では家ごと流されることもあり、2階が安全とは言い切れない。
 土砂災害が起こりうる場所は、地形からある程度わかり、公表されているケースが多い。被災地域は土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域には指定されていないが、ノーマークだったわけではない。危険箇所は、いろんな形で網掛けが行われ、今回の被災地域も、様々な法律に基づき危険箇所に指定されている場所ばかりだ。
 大雨警報は前夜の9時台、土砂災害警戒情報は当日午前1時台に出ている。都市部では防災情報が伝わりにくいので、様々な伝達手段を用意することが重要だ。(聞き手・編集委員 服部真)
 ◇うしやま・もとゆき 静岡大学防災総合センター教授。専門は災害情報学、自然災害科学。豪雨災害や津波災害時の情報伝達などに詳しい。46歳。
<以下略>

2014年8月15日 (金)

台風11号,12号に起因する犠牲者の分類

総務省消防庁8月14日付け資料 http://goo.gl/nsyUtj によれば,台風11号,12号に起因する死者数は6人,行方不明者数0人.これら犠牲者について,報道等の資料をもとに発生状況を分類した.なお,当方で行っている豪雨災害時の人的被害に関するこれまでの研究については, http://goo.gl/ofOW8 を参照のこと.
  • 犠牲者の原因別人数は,洪水0,河川3,土砂1,強風0,高波1,その他1.遭難場所は屋外5,屋内1.いわゆる「逃げ遅れて」という犠牲者は1人で,他は言い方は冷酷だが,何らかの形で危険な場所に近づいた結果の遭難.
  • 犠牲者の年代別人数は,65歳以上2,65歳未満4.今回は非高齢者の方が多いが,絶対数が多くないので,傾向と言えるようなものではない.
  • 犠牲者で,何らかの避難行動をとっていた人は認められなかった.
  • 犠牲者の遭難時間帯は,0-6時1,6-12時3,12-18時2,18-24時0.夜間の犠牲者が少ないことは一般的な傾向で奇異なことではない.ただしこれも総数が多くないので傾向と言えるほどのことではない.
  • 防災気象情報等によって人的被害が軽減されたのか,そもそも人的被害が生じるほどの現象が起きていないのかを区別することは極めて困難.今回に限った話では無いが.

2014年8月14日 (木)

2014年8月10日 主要AMeDAS観測所の降水量

2014年8月10日の豪雨時の三重県の主要地点の1時間ごとの降水状況のグラフを示します.降水のピークは,8月9日の日中でした.1時間降水量はいずれもそれほど大きくないことが特徴的です.

Kameyama1 三重県亀山

Hakusan1 三重県白山(津市)
各観測所の今回の記録,既往最大値,全国アメダス最大値を比較した図を示します.24,48時間降水量が大きく,短時間降水量が大きくないことがよく分かります.いずれも全国最大には大きく及びませんが,これら地域としては大きな値となりました.
Kameyama2_2 三重県亀山
Hakusan2 三重県白山(津市)

大雨特別警報の解除過程についてメモ

大雨特別警報の(解除側)切り替え過程について,いろいろな情報によってわかったことをメモしておく.

大雨特別警報から大雨警報に切り替えることはあり得る.ただしそれは府県内に大雨特別警報となっている細分区が一つもなくなった場合に限る.

つまり,同一府県内で,大雨特別警報の出ている細分区と大雨警報が出ている細分区が並存することはあり得ない.結果的に,大雨特別警報は(解除側)切り替え過程では,大雨警報は経ずに大雨注意報となることが多くなりそう.

大雨に限らず,いったん特別警報を出したら,特別警報を出す基準を下回ったとしても,激しい現象が明らかに進行中である場合(台風本体が接近中であるなど)には,特別警報を(解除側に)切り替えることは積極的にはしにくい.

土砂災害警戒情報と,大雨特別警報は,現状ではそれぞれ独立に運用されている.したがって,同一細分区において土砂災害警戒情報は解除されたが,大雨特別警報は残っている,という状況はあり得る.

いずれにせよ,特別警報はいろいろと運用上の試行錯誤過程にあると思う.実事例の教訓を,レベル化防災気象情報の運用に盛り込んでいけるといいんだけど・・・

2014年8月11日 (月)

2014年8月10日降水量最大値更新状況

2014年8月10日に降水量最大値を更新した全国AMeDAS観測所(統計期間20年以上)の一覧を示します.

1時間降水量極値更新観測所

地点番号 府県名 地点名 統計
年数
月日時 本日最大値
(mm)
過去最大値
(mm)
記録年月日
45086 千葉東庄38 8/10 3 63631999/10/27

2時間降水量極値更新観測所

地点番号 府県名 地点名 統計
年数
月日時 本日最大値
(mm)
過去最大値
(mm)
記録年月日
45086 千葉東庄38 8/10 4 111941996/9/22

24時間降水量極値更新観測所

地点番号 府県名 地点名 統計
年数
月日時 本日最大値
(mm)
過去最大値
(mm)
記録年月日
53091 三重亀山38 8/10 6 3452721976/9/9
53151 三重白山35 8/10 4 4493892013/9/16
74237 高知船戸38 8/10 5 6706542011/7/19
74361 高知窪川38 8/10 4 5264732007/7/14

48時間降水量極値更新観測所

地点番号 府県名 地点名 統計
年数
月日時 本日最大値
(mm)
過去最大値
(mm)
記録年月日
53091 三重亀山38 8/10 15 3753181976/9/10
53151 三重白山35 8/10 15 5184452013/9/16
56176 石川羽咋38 8/10 1 2512102002/7/15
63411 兵庫三田38 8/10 14 2752572004/10/21
65106 和歌山湯浅38 8/10 17 3323241976/9/10
74237 高知船戸38 8/10 6 8828262011/7/19
74271 高知安芸38 8/10 9 3753481990/9/19
74361 高知窪川38 8/10 6 6636102007/7/14

72時間降水量極値更新観測所

地点番号 府県名 地点名 統計
年数
月日時 本日最大値
(mm)
過去最大値
(mm)
記録年月日
53151 三重白山35 8/10 15 5204471982/8/3
63411 兵庫三田38 8/10 24 2762582004/10/21
74237 高知船戸38 8/10 14 9189141999/7/29

2014年8月9日降水量最大値更新状況

2014年8月9日に降水量最大値を更新した全国AMeDAS観測所(統計期間20年以上)の一覧を示します

1時間降水量極値更新観測所

地点番号 府県名 地点名 統計
年数
月日時 本日最大値
(mm)
過去最大値
(mm)
記録年月日

2時間降水量極値更新観測所

地点番号 府県名 地点名 統計
年数
月日時 本日最大値
(mm)
過去最大値
(mm)
記録年月日
53121 三重笠取山38 8/9 16 1101091993/9/9

24時間降水量極値更新観測所

地点番号 府県名 地点名 統計
年数
月日時 本日最大値
(mm)
過去最大値
(mm)
記録年月日
53091 三重亀山38 8/9 24 3332721976/9/9
53151 三重白山35 8/9 24 4353892013/9/16
56176 石川羽咋38 8/9 1 1981721996/6/25

48時間降水量極値更新観測所

地点番号 府県名 地点名 統計
年数
月日時 本日最大値
(mm)
過去最大値
(mm)
記録年月日
53091 三重亀山38 8/9 24 3363181976/9/10
56176 石川羽咋38 8/9 21 2632102002/7/15

72時間降水量極値更新観測所

地点番号 府県名 地点名 統計
年数
月日時 本日最大値
(mm)
過去最大値
(mm)
記録年月日
53151 三重白山35 8/9 17 4654471982/8/3

2014年8月 9日 (土)

【気象情報アーカイブ】記録的な大雨に関する三重県気象情報 第5号

記録的な大雨に関する三重県気象情報 第5号

平成26年8月9日17時21分 津地方気象台発表
(見出し)
三重県では大雨特別警報を発表しました。北中部を中心に、これまでに経験 したことのないような大雨となっているところがあります。最大級の警戒を してください。
(本文)
なし

2014年8月 6日 (水)

神奈川県山北町河内川のキャンプ場事故現場を現地踏査

2014年8月4日,神奈川県山北町河内川のキャンプ場事故現場を現地踏査した.

日時: 2014/08/04 11:52

位置: 35.477 北 139.06595 東

地図: maps.google.com/maps?q=35.4770…

P1010026

遭難地点付近、docomoは問題なくつながる.auは圏外のもよう.

遭難したご家族がいた「中州」は,目で見たところでも,報じられているようになんらかの人工的な手が加えられているように思われた.自然の河原にしては凹凸がなさすぎ,木の生えている凸部の周りには人工的に土を除去した部分があるように見えた.

P1000987

国土地理院の1974~1978年撮影空中写真を見ると,現場付近は川原つまり現河道のように見え,いわゆる中州となっていてもおかしくない.遭難現場となった中州は,もともとあった中州あるいは川原に何か手を加えたものと思われる.これはすでに報じられている通り.

Photo

中州上の平面部分には8月1日の出水時のものとみられる新しそうな洪水流の流下痕跡が認められた.報道映像を見ると遭難した方たちのテントは流されなかったようだが,中州上の少なくとも一部は洪水流が流れたように思われる.

P1010018

中州の平面上には,8月1日よりは古そうな洪水流の流下痕跡らしきものも認められた.木本類はなく若干の草本類があるのみで植生もほとんどない.人手が加えられている可能性があるので単純には言えないが,だいたい年に一度以上は洪水流(砕いて言うと「川の水」)が流れる場所だった思われる.

中州の高さは,車が流された地点付近の本日の水面から+0.8~1.0mくらい.左岸側のキャンプサイトよりは低い(左岸側の高さ測るの忘れた).この付近の川幅約5~6m,本日の水深深いところで0.3mくらい.水面の勾配は約1度.

P1010025

人手が加わっていたかもしれないけど,いずれにせよこの中洲は「川原」,つまり「川の中」だと言って差し支えないと思う.

報道ではあまり指摘されていないけど,「車は水に簡単に流される」というこれまでしつこく指摘されている事項も,今回の遭難の一つの要素だと思う.

なお,このキャンプ場の管理者や管理方法にいろいろと問題があった可能性について,いろいろ報じられているが,私は特に情報を持たないので,その是非などについて言及できない.

箒沢雨量観測所

日時: 2014/08/04 12:15

位置: 35.47131 北 139.06263 東

地図: maps.google.com/maps?q=35.4713…

pic.twitter.com/4wsx7vEXvC

2014年8月1日神奈川県山北町河内川のキャンプ場事故について

2014年8月1日夜,神奈川県山北町中川の河内川付近にあるキャンプ場「ウェルキャンプ西丹沢」で,車で川を渡ろうとした家族4人が流され,運転していた43歳男性は自力で助かったが,同乗していた42歳女性,9歳女性,7歳男性が死亡した.川の増水を警戒し,テントを張っていた中州から道路などがある対岸に戻ろうとしたところ流されたものと思われる.

遭難したご家族がいた,キャンプ場「ウェルキャンプ西丹沢」 goo.gl/z0GYV の「アドベンチャーゾーン」はおそらくこの付近 goo.gl/VFUyME と考えられる.地形的に見て,「アドベンチャーゾーン」は完全に「川原」.冷酷だが,これは自然災害ではなく,水難事故ととらえるものと思われる.

水難事故による犠牲者数は,経年的に減少してはいるが,近年でも年間800人前後に上っており,自然災害より「桁違いに多い」犠牲者数となっている. pic.twitter.com/YnUHRy5vQl

遭難現場近隣の雨量観測所は神奈川県・箒沢(ほうきざわ)雨量観測所.位置はここ http://goo.gl/ZyN27J 最近3日間観測値を画像で. pic.twitter.com/DYliHTK3Ik

現場付近はdocomoのエリア内. pic.twitter.com/6PPKuMFurB

8月4日に現地踏査した際の雑感はこちら

« 2014年7月 | トップページ | 2014年9月 »

無料ブログはココログ

ブログ内検索

Twitter