読売新聞記事「[論点スペシャル]広島土砂災害」より
8月23日付け読売新聞の,当方インタビュー記事.こちらの考えていることをうまくまとめていただいたので,私の関係部分を引用紹介します.
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[論点スペシャル]広島土砂災害
広島市北部の豪雨に伴う土砂災害は、大規模な被害をもたらした。災害が変わりつつあるのか。我々は今後、どう向き合っていけばいいのか。災害研究の専門家に聞いた。〈本文記事1面〉
◆危険箇所に住宅密集
◇牛山素行氏
今回の土砂災害を引き起こした雨は、記録としては大きな数字ではない。総雨量も3時間雨量も、全国の雨量の中では全く目立たない。どの程度の雨で災害が発生するかは地域によって違うので、今回の雨は広島にとっては非常に大きい雨だったとも言えるが、自然災害としては、そこまで激しいものではない。
にもかかわらず、人的被害がここまで広がった要因として指摘するべきは、土砂災害の起きるような場所に、家がたくさん張り付いていたことだ。都市部の住宅密集地が山の近くまで広がっているのは、広島市の特徴だろう。
21日に現場入りし、安佐南区の八木、山本地区、安佐北区の可部東地区などで被害の状況を確認した。谷筋を下った土砂が家を流す一方で、土砂が流れた場所から数メートル離れるだけで、状況は全く違っていた。土石流は谷筋に沿って流れ下るから、谷の出口から土砂の流れる方向に対して直角方向に、たとえ家1軒分でも避難しなくてはならないということだ。最近は、洪水なら2階に避難するのも次善の策として容認されると強く言われるが、土砂災害では家ごと流されることもあり、2階が安全とは言い切れない。
土砂災害が起こりうる場所は、地形からある程度わかり、公表されているケースが多い。被災地域は土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域には指定されていないが、ノーマークだったわけではない。危険箇所は、いろんな形で網掛けが行われ、今回の被災地域も、様々な法律に基づき危険箇所に指定されている場所ばかりだ。
大雨警報は前夜の9時台、土砂災害警戒情報は当日午前1時台に出ている。都市部では防災情報が伝わりにくいので、様々な伝達手段を用意することが重要だ。(聞き手・編集委員 服部真)
◇うしやま・もとゆき 静岡大学防災総合センター教授。専門は災害情報学、自然災害科学。豪雨災害や津波災害時の情報伝達などに詳しい。46歳。
<以下略>
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