広島豪雨災害による犠牲者の特徴・序報
広島豪雨時の犠牲者に関する調査を継続している.
近年の風水害では,犠牲者の年代構成が高齢者に偏在しており,今回の広島豪雨災害でも同様.その意味でNHKが報じた「土砂災害犠牲 60代以上半数超」は間違いではない.しかし,「広島豪雨災害ではこれまでの災害と異なり(あるいはこれまで以上に)高齢者の犠牲者の比率が多かった」といったことはない.
私が行っている調査 goo.gl/ofOW8 によれば,2004-2013年の風水害による犠牲者に占める65歳以上の割合は56%.人口構成比では2割強なので,高齢者に犠牲者が偏在していることは間違いではない. pic.twitter.com/vaxWBm48fU
一方,広島豪雨災害では,65歳以上の方の割合は41%.人口構成比と比較する多いが,2004-2013年の犠牲者全体と比べると低い.非高齢者の犠牲者率が高かったことが,広島豪雨災害の犠牲者に関する大きな特徴の一つと考えられる. pic.twitter.com/wB9jhCaB1F
広島豪雨災害時の犠牲者を,2004-2013年の風水害による犠牲者と比較した際に見られる他の特徴を挙げると,
- ほぼ全員「土砂」の犠牲者
- 遭難場所は「屋内」がほとんど
- 能動的犠牲者がほぼいない
- 避難行動有りの犠牲者が少ない
などとなる.これら特徴のうち,2),3),4)は2004-2013年の土砂災害犠牲者の一般的な傾向と同様である.ほぼ全員が土砂災害犠牲者であることを考えると,広島豪雨災害による犠牲者の特徴には,あまり特異な傾向は見られないと言っていい.唯一特徴的なのが「非高齢者の犠牲者率が一般的な傾向と比べやや高い」ことである.
これらについて詳しくは,来週23-25日に鹿児島大学において行われる日本自然災害学会 goo.gl/4BG7dZ の25日17:20-緊急に開催予定の「広島県土砂災害緊急調査報告会」にて発表する予定である.
報告で使用したスライド
http://www.disaster-i.net/notes/2014jsnds_sp.pdf