市区町村の防災に関するアンケート 緊急集計速報
静岡大学防災総合センター牛山研究室が実施した,「市区町村の防災に関するアンケート 緊急集計速報」を, http://goo.gl/E6Az2 中のPDF http://goo.gl/dmYeDJ に公開しました.
このアンケート調査は,今年5月に全国市区町村の防災担当者を対象に実施し,7月に回答を締め切って解析を進めていたものですが,平成26年8月豪雨の発生を踏まえ,土砂災害警戒区域や避難勧告など,本災害と関係の深い一部の設問についてのみ,緊急に集計・公表することとしました. 主な結果は以下の通りです.
- 土砂災害警戒区域等の情報が有効活用されていない面がある
- 警戒区域指定が完了してないところが半数
- 地形的には考えにくい「イエローのみ」が20%も.情報としての質の低下
- 避難勧告等の対象世帯を決める際,土砂災害警戒区域等の考慮を具体的に計画していないところが45%
- 避難場所の指定に土砂災害警戒区域等を考慮していないところが28%
- 近年推奨されている防災対応に前向きな回答が全体では多数派
- 避難勧告時に土砂災害警戒区域等を考慮53%
- 避難場所指定に土砂災害警戒区域等を考慮72%
- 避難勧告等は「空振り」に終わってもよいから積極的に出す85%
- 夜間であっても避難勧告等・避難指示を出した方がよい91%
- 避難所開設完了してなくても,避難勧告等を出した方がよい74%
- 小規模自治体が厳しい状況に置かれている
- 多くの防災対応で,小規模自治体ほど消極的な傾向
- 防災担当の専任職員は「0人」が30%,1人以下が45%.「村」では「0人」が67%.「町」でも半数近く(45%)が「0人」
- 専任職員が,体系的防災研修に全く参加していないところが26%.「町」や「村」では4割以上
なお,この調査は,「市町村は情報をろくに活用せずけしからん」という趣旨で公表したものでなく,人数など極めて厳しい環境下で防災業務に当たっている市区町村の実情を,具体的なデータを元に多くの人に知ってもらいたいという意図で公開したものです.
研究者によるこうした調査結果は,本来少なくとも学会発表,できれば査読論文を通して公表されるべきもの,とは思いますが,防災のような社会と密接に関わる問題では,いろいろな意味で「時期」もあります.スマートなやり方ではないですが,報道公開という形で公表しました.
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