台風18号による静岡市清水区の浸水被害現地踏査
10月7日,台風18号による浸水被害が発生した静岡市清水区石川新町,大内新田付近を現地踏査し,浸水痕跡から付近の地盤高に対する浸水深を計測した.現地踏査の範囲と,計測した浸水深を図に示す. pic.twitter.com/Mt6WbjcCx6
なお,ここで行った調査は,面的な浸水状況の概略を把握する目的で,ポールと目視によっておこなった簡易計測であり,被害を証明する等の目的で使用できる厳密なものではない.また当方では厳密な計測を実施する技術を持ち合わせておらず,依頼があっても対応できない.
今回現地踏査した範囲内では,洪水により,外観上明らかに倒壊,流失した建物は認められなかった.浸水深は多くの場所で1m以下であった.1m以上の場所もあるが,それらの多くは川の周囲などで局所的に低くなっているところであった.2階まで浸水したような場所は認められなかった.
この付近では,周囲の地盤から0.5-1m程度かさ上げして建てられている住家や,ピロティ構造で1階部分を車庫などにして2階以上に居住しているなど,浸水に対する備えが考慮されていると思われる住家も見られた.このため1m程度の浸水でも床上浸水とならないケースも少なくなかった.
計測した浸水深と,1974-1978年頃の空中写真を重ねた図を下に示す.今回の踏査範囲で,明瞭な浸水痕跡が認められた箇所は,1974-1978年頃には住家がなかった箇所も少なくない. pic.twitter.com/TTsfbKI8JH
当方は,災害情報が専門であり,洪水現象のメカニズムの解明を専門とするものではないので,今後,これ以上詳細な浸水深に関する調査研究を行う予定はない.また,災害情報面からの調査も,すでに多数の事案を抱え,中途半端な調査をすることは適切でないと考えるので,実施する余裕はない.
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