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2015年6月22日 (月)

日本の年降水量について

 以前から要確認だと思っていた「日本の年降水量の平均」について簡単に調べたので以下にメモ.「日本の年降水量の平均」は自明のように思えるけど意外に難しい.
 
 気象庁関係の資料では,「日本の年降水量の平年値」という値は明示的には確認できない.似たような情報としては,ホーム > 各種データ・資料 > 地球環境・気候 > 地球温暖化 > 気温・降水量の長期変化傾向 > 日本の年降水量 http://goo.gl/Vspl3y がある. これは国内51地点について,各地点の年降水量平年値に対する各年の平年偏差を,各年ごとの平均したものなので,「日本の年降水量平年値がいくらで,今年の年降水量平均値との差はいくら」というものではない.
 
 いくつかの文献には「日本の年平均降水量は1690mm」の記述が見られる.出典は国土交通省「日本の水資源」 http://goo.gl/8JpCnv 「年平均降水量は1690mm(1981年から2010年)の全国約1300地点の資料をもとに国土交通省水資源部で算出)」とある.1690mmの算出法は明示されていないのだけど,実用上の指標としては「日本の水資源」を出典として「日本の年平均降水量は1690mm」と説明して何も問題は無いと思う.ただいちおう雨量使いとしては何となく気になるので,自分でも確認してみた.
 
 気象庁の「平年値2010」から集計すると,AMeDAS観測所で年降水量平年値が得られるのは1134ヶ所で,これを単純に平均すると1724mmとなる.AMeDAS平年値は1981-2010年に統計年数8年以上で欠測年数が統計期間の20%以下とされているので,少し統計期間の短いデータも含まれている.より厳密に統計年数30年の観測所のみで年降水量を平均すると,980ヶ所,1717mmとなる.
 
 AMeDAS平年値から単純計算すると「日本の水資源」の1690mmと微妙に異なる数字となる.「日本の水資源」では「全国約1300地点の資料」とあるので,おそらくAMeDASを使っていると想像されるけど,もしかすると国交省観測所を使っているかもしれない.いずれにせよ,その差はわずかで,多少の定義の相違によってこれくらいの差は出てくると思われるので,1690mmが正しくて1724mmは間違いとか,そういった話では無い.
 
 そもそも,正確な「日本の国土全体の平均的な年降水量」などを出すのは極めて困難で,あまり細かな議論をしても意味は無い.このことについては,先に挙げた気象庁の頁に関連しても「世界と日本の気温、降水量の経年変化に関して、よくある質問」 http://goo.gl/WIRuZX として説明がある.
 
 この「細かな議論をしても意味が無い」ということを専門外の人にいかに納得してもらうかが,とても難しい課題とは思うが.
 
 用途によるが「自分の居住地の年降水量は全国平均の比べてどのくらいだろう」などと考えるときのおよその目安としての「日本の年降水量」は,「約1700mm」くらいに表現するのが適切ではないかと思うが,どうだろう.

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