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2015年7月12日 (日)

ハード防災対策とソフト防災対策

 防災対策には「ハード対策」と「ソフト対策」があり,両者は根本的に異なる性質を持っていることを理解することも,きわめて重要である.ハード対策は,英語でstructural measuresと言われるように,「なんらかの構造物による被害軽減手法」ととらえることができる.たとえば,ダム,堤防,防潮堤,耐震補強などが挙げられる.いっぽうソフト対策は,英語ではnon-structural measuresであり,「構造物によらない被害軽減手法」といえる.たとえば,土地利用規制,耐震基準,保険,観測システム,情報システム,ハザードマップ,防災教育,訓練,避難システムなど,さまざまな例が挙げられる.
 
 日本においては,戦後復興期から阪神・淡路大震災頃までの間,防災対策は,おおむねハード対策を中心に考えられてきたといってよい.しかし,ハード対策には次のような問題がある.
  • 一般的に,多くの費用が必要.
  • 多額の費用を投じて整備しても,いつ必要になるかわからない(結局一度も役立つことなく耐用年数を迎える場合もある).
  • 「計画を超える規模の現象」(計画超過外力)には耐えられない.
  • 人間活動の拡大に伴い,対策を実施すべき「危険箇所」が増加し,整備が追いつかない.
 すなわち,ハード対策だけでは限界があるという認識が,1995年頃以降しだいに高まってきた.それにともなって期待が高まってきたのがソフト対策である.ことに,住民を巻き込んだ取り組みに関心が持たれている.
 
 たとえば,平成17年版防災白書(A4版333ページ)では,「序章 迫り来る巨大地震と「備え」を実践する国民運動の展開へ」という26ページの記述があり,その内容は,数ページほど耐震補強に関する記述があるほかは,ほとんどが,ハザードマップ,避難計画,防災まちづくりなど,ソフト対策に分類される内容になっている.本文中にも「第3章 国民の防災活動」という21ページにわたる記述がある.比較のため,平成6年版防災白書(A5版,本文575ページ)をみると,住民にかかわるソフト対策関係の記述としては,「災害時のボランティア活動」と「企業の防災対策と職場での防災活動」という,合わせて10ページほどの節があるのみで,記載されている情報量は比較にならない.
 
 このように,期待の高まっているソフト対策だが,ハード対策とソフト対策の間には決定的な違いがあり,ソフト対策を計画,推進していく上では,この違いを充分理解することが必要である.
 
 ハード対策の諸技術は,設置したり,性能を向上させたりすれば即減災効果を発揮することができた.たとえば,治水ダムは,工事が完了すれば,かりに完工式を行った夕方に豪雨に見舞われたとしても,計画どおりの洪水調節を行えるであろう.いっぽう,ソフト対策の諸技術は,設置・性能向上をしただけでは,直接は減災につながらない.そのソフト対策技術が,人(利用者)に理解され,利用されて初めて効果を発揮すると考えられる.たとえば,「管内の雨量観測所や水位観測所の観測値をインターネットで住民にリアルタイムに公開する『防災情報システム』」が納品され,完工式が行われたとしても,それだけでは,おそらくその夕方に豪雨に見舞われた場合,何の役にも立たない.そのシステムが完成したことを利用者が認識し,情報の読み方を理解し,適切な判断をして避難をすることによってはじめて効果を発揮する.
 
 ハード対策とソフト対策は,設計・施工→システム完成というところまでは共通だが,ハード対策はその後すぐに機能発揮できるのに対して,ソフト対策の場合はその後に「利用者による理解・利用」という,ハード対策にはなかったプロセスが,1段階多く存在しているのである.

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図 ハード対策とソフト対策の違い
 
 ハード対策全盛時代において,災害の教訓を生かすということは,ハード対策施設を増設したり,新技術による施設性能の改善を図ったりすることといっても過言ではなかった.ソフト対策において,新たな情報技術による防災情報システムの開発や,防災情報の質的改善,すなわち「使いやすい防災情報の整備」は,ハード対策における施設性能の改善や,施設増設にあたると考えられ,これはすでに積極的に取り組まれているといっていい.しかし,利用者の理解・利用の改善,すなわち「防災情報を使うための仕組み作り」については,まだ充分取り組まれていないように思われる.
 
 また,一般にソフト対策の「計画想定外力」は明確になっていないことが多い.しかし,ソフト対策もけっして万能ではなく,必ず限界が存在する.ソフト対策の限界にも注意を向けていくことも重要である.
 
 ハード対策とソフト対策は,その効果の現れ方にも相違がある.まず,人的被害については,予測技術,警報制度,その伝達システム,といった災害情報に代表される「ソフト対策」が完全に機能すれば,被害を受けうる人が避難して難を免れるという形で効果を発揮しそうである.経済的被害については,たとえば浸水域に所在していた車を高所に移動させることによって損失を免れるといった効果が考えられるが,移動可能な財物は限られるし,時間的余裕がないことも考えると,特に短期的効果は限定的だろう.構造物に至っては,そもそも基本的に移動が不可能で,短期的効果はほぼ期待できない.土地利用規制や建築基準など,長期的な効果はあり得る.
 
 一方,ハード対策は,人的被害,経済的被害,構造物被害のすべてに対して効果を発揮することが期待できる.計画規模より大きな外力に対しては効果が発揮できない場合があるが,それはソフト対策においても同様である.少し考えてみれば当たり前のことであるが,ソフト対策は主として人的被害の軽減に効果が期待される対策である.ソフト対策はハード対策を代替するものではなく,相互に補完しあうものである.

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図 ハード対策とソフト対策の効果の違い
 
※牛山素行「豪雨の災害情報学」に加筆修正

2015年7月11日 (土)

そもそも「防災」とは何か

 災害という言葉と同様,「防災」という言葉も,広く,曖昧な意味合いで使われているように思われる.そもそも「防災」とは何だろうか.ふたたび大辞林第2版で「防災」を調べると,極めて単純明快に「災害を防ぐこと」とある.外力が人間社会に作用することによって「災害」となる.「防災」が災害を防ぐことなのであれば,外力が人間社会に作用することを何らかの方法で軽減することが「防災」となると考えられる.近年は「減災」という言葉もよく使われるが,定義上はほぼ同様な意味であるので,ここでは防災という言葉で統一する.
 
 外力そのものを制御すること,例えば地震を起こさなくするとか,台風を消滅させるといったことはきわめて困難だ.しかし,外力を受ける人間社会に対策を施し,その影響を制御することは可能である.
 
 対策の施し方には大別すると,
(1)人間社会に対する外力作用過程への対策
(2)外力が作用した人間社会への対策
の2種類がある.(1)の対策は,例えば洪水防御のために堤防を構築する,災害発生の危険を知らせて人々を避難させる,といったものである.(2)は,破壊された構造物を修復する,遭難した人々を救助するといった内容である.

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 たとえば「被災者支援」や「発災対応」は,いずれもここでいう(2)に当たる.(1)と(2)の対策は,どちらか一方が重要ということはなく,どちらか一方だけやればいいというものではない.強調しておきたいが,筆者は「被災者支援」とか「発災対応」が不要だと言っているのではない.ただ注意したいのは,被災者支援や発災対応「だけ」に注力することは,防災対策の一部だけを一生懸命やっていることになるということである.外力無くして災害は絶対に起こらない.したがって,外力について考えることや,外力への対策を行うこと無視,あるいは軽視して,防災対策を考えるのは不十分である.
 
 わが国の防災政策の根本を定めた法律として,災害対策基本法があるが,同法の中で「防災」は以下のように定義されている.
 
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
二  防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。
 
 この定義は,災害ライフサイクルの考え方に見事に適合している.すなわち,「災害を未然に防止し」が事前の対応,「災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ」が事中の対応,「災害の復旧を図ること」が事後の対応である.災害対策基本法では,防災対策は事前,事中,事後の全過程を対象としていることが示唆されている.
 
 災害が外力発生を中心とした一連の現象であることと同様,「防災」も外力発生を中心とした一連の現象の全体に対して対策を施すことであると考えなければならない.段階的に整理すると「防災」とは,
 
 ステップ1:外力について,正しく,十分に理解する.
  ↓
 ステップ2:外力が人間社会に与える影響を少しでも軽減できる方策を講じる.
  ↓
 ステップ3:その上で,外力の影響を受けた人間社会に手当を施す.
 
といった3ステップ全体を指すはずである.どれか一部を行うだけでは目的は完遂されない.この3ステップはあくまでも一連,一体のものである.

災害のライフサイクル

 災害を時間軸に沿って整理してみると,「Hazardの発生」という時点を中心として,さまざまな態様を持っていることがわかる.このことを,「災害のライフサイクル」と呼ぶ場合がある(たとえば,京都大学防災研究所,2001).

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 図は,筆者の考える「災害のライフサイクル」である.事前→事中,事中→事後の境界は必ずしも明確ではない.ここでは,事前→事中の境界は,警報の発表など平常とは異なる状況が発生した時点,事中→事後の境界は,被災者自身やごく近くにいる人のみによる緊急避難的対応を終え,地域社会や被災地域外からの組織的対応が始まった時点と考えている.これらの境界,あるいはそれぞれの時点の時間的長さ,態様などは,Hazardの種類によって大きく異なる.
 
 ここで注意しなければならないことは,災害のライフサイクル中のそれぞれの時点において,必要とされる対策・技術が異なるということである.必要とされる技術が異なれば,それに携わる「専門家」も異なることになる.豪雨災害を例に考えてみよう.事中フェーズの初期に発せられる「大雨洪水警報」は,気象庁によって発表される.この時点では,「気象庁」という「専門機関」の必要度が非常に高い.水防施設の防護などの場面では,「水防団」の必要度も高くなる.その後,豪雨が実際に発生し,破堤により洪水が急速に広がったとする.このような,災害進行中の時点ではもはや「気象庁」の必要度はほとんどなく,個人や,末端の防災支援組織(消防団等)がもつ「状況対応能力」の必要度が高くなる.洪水の拡大が収まった後(事後フェーズの始まり)は,消防機関などの救援組織や,医療機関などの必要度が高まる.浸水が引いた後は,後片付けのボランティアなどの必要度が高まり,復興の推進には,都市計画の専門家の役割が重要になるだろう. 
 
 漠然と「防災を考え」ても,考えなければならないことがあまりに広範にわたり,挫折してしまう.まず,それぞれの地域において起こりうるHazardの種類を考え,それぞれのHazardによって引き起こされる災害のライフサイクルを描く.そのライフサイクルの中で,その地域ではどこが弱いかを点検してみる.こうすれば,その地域において重要なことを検出することができるかもしれない.その上で,「弱いところ」にかかわる専門家の協力を得て,「弱いところ」の改善を図る.このように,災害の構造を整理して考えることが,「防災を考える」第一歩となる.「防災を考える」ために,闇雲に「地震の専門家の話を聞く」,「避難訓練をする」などの行動を起こしても,それが本当にその地域の「防災を考える」ために重要なことかどうかはわからない.ステレオタイプ的な「防災」の概念にとらわれず,その地域が災害に見舞われる姿を,具体的にイメージすることがまず重要である.
 
牛山素行「豪雨の災害情報学」より抜粋
 
[参考文献]
京都大学防災研究所編:防災学ハンドブック,朝倉書店,724p.,2001.

そもそも「災害」とはなにか

 あえて刺激的な表現を使うが,「地震は災害ではない」.あるいは「台風」も災害ではないし,「津波」も災害ではない.大辞林第2版で「災害」を調べると,「地震・台風・洪水・津波・噴火・旱魃(かんばつ)・大火災・伝染病などによって引き起こされる不時のわざわい.また,それによる被害」とある.すなわち,地震,台風などは災害を引き起こす原因となる自然現象であり,災害ではない.専門的な言葉では,これらをHazardと呼ぶ.Hazardを指す日本語として一般に定着しているものはないが,たとえば水谷(2002)は「自然力」,日本自然災害学会(2002,事項執筆・渡辺正幸)は「加害力」と呼んでいる.「外力」という言葉が使われる場合もあり,ここでは「外力」を用いる.
 
 外力が自然界だけに作用した場合,それは自然の営みにすぎない.しかし,同じ規模の外力が人間社会に作用すれば,それは災害となる.ごく単純な例を挙げれば,砂漠の真ん中で巨大地震が発生しても,それは災害にはならない.しかし,同じ規模の地震が人口密集都市付近で発生すれば災害となりうる. 

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図 1 外力と災害
 
 すなわち,外力だけでは災害は起こらない.災害に関して考えるとき,ともすれば外力の大きさ,激しさに目が向けられがちだが,外力の激しさは災害を引き起こす要素の一つであり,それだけで災害の規模が決まるものではない.
 
 例を挙げよう.2008年6月14日に発生した平成20年岩手・宮城内陸地震は,マグニチュード7.2,最大震度6強(岩手県奥州市,宮城県栗原市)が記録された.近年のわが国で発生した地震としては比較的規模の大きな地震であり,特に山間部で大規模な地すべり,斜面崩壊,土石流などが発生した.写真 1は,宮城県栗原市の荒砥沢ダム上流域で発生した大規模地すべりで,幅900m,長さ1400m,移動土砂量約7000万立方メートルと推定されている(井良沢ら,2008).これは,日本で明瞭な記録が残っている地すべりの中でも最大規模の現象である.広範囲にわたって地形が大きく変化したため,付近の道路などは大きく損壊したが,この地すべりに起因する損壊家屋,人的被害はともに皆無である.また,この地震による被害の合計は,死者・行方不明者23名,住家の全壊30棟,半壊146棟などであった(総務省消防庁,2009a).

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写真1
 
 近年の他の被害地震として,例えば2007年7月16日の新潟県中越沖地震(マグニチュード6.8,最大震度6強)による被害は,死者15名,住家全壊1331棟,半壊5709棟などとなっている.岩手・宮城内陸地震と中越沖地震は,人的被害は同程度だが,家屋被害の量は比べものにならない.地震の規模だけで見れば,岩手・宮城内陸地震の方がむしろ大きいと見なせる.まさに,外力の大きさが,被害を直接決めるものではないことを示唆している.
 
 一方,当然のことであるが,外力無くして災害は発生しない.「災害の風景」というと「避難所でつらい生活を送る被災者」であり,「災害への対応」とは被災者支援,ボランティアであるといったイメージが持たれやすいかもしれない.しかし,構造的に考えると,「被災者」は外力が社会に作用し,かつ社会の許容力を越えなければ発生しない.無論,被災者支援が重要なことは言うまでもない.しかし,被災者支援が災害対策のすべてではない.外力があり,それを受ける社会があり,その結果として被災者が生じるのである.
 
 外力にばかりに目を向けることも適切ではない.しかし,それと同様に被災者にばかり目を向けることも適切ではない.我々は,災害というものを,外力発生を中心とした一連の現象としてとらえていかねばならない.
 
[参考文献]
井良沢道也・牛山素行・川邊洋・藤田正治・里深好文・檜垣大助・内田太郎・池田暁彦:平成20年(2008)岩手・宮城内陸地震により発生した土砂災害について,砂防学会誌,Vol.61, No.3, pp.37-46,2008.
水谷武司:自然災害と防災の科学,東京大学出版会,207p.,2002.
日本自然災害学会:防災事典,築地書館,543p.,2002.
総務省消防庁:平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震(第78報),http://www.fdma.go.jp/detail/811.html,2009a.
総務省消防庁:平成19年(2007年)新潟県中越沖地震(第52報),http://www.fdma.go.jp/data/010909161410293740.pdf,2009b.

2015年7月 3日 (金)

7/18(土)静岡市内で講演「2014年広島豪雨災害時の人的被害の特徴とその影響」

 7月18日(土)午前,静岡市内で講演します.どなたでも参加できますので,関心をお持ちの方はご参集ください.
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第79回ふじのくに防災学講座
■日程
 平成27年7月18日(土) 10時30分~12時00分
 
■テーマ
  「2014年広島豪雨災害時の人的被害の特徴とその影響」
 
■講師
 静岡大学防災総合センター 牛山素行 教授
 
■概要
 2014年8月20日に広島市周辺で発生した豪雨により、同市内で74人の犠牲者が生じた。この災害時の人的被害の特徴を、最近の他の事例と比較して述べた上で、同災害を契機として国や自治体などによって行われた検討や対策について振り返る。

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豪雨災害 犠牲減らすには-実態把握して対策を

 7月2日付け静岡新聞「時評」欄に掲載された筆者の寄稿記事です.至る所で紹介している,当方で行っている豪雨災害時の人的被害に関する研究成果の概説ですが,「時評」ではこれまで書いたことが無く,時期も時期ですので,取り上げてみました.
 
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豪雨災害 犠牲減らすには-実態把握して対策を
 
 今年も出水期(しゅっすいき)がやってきた.出水期とは,河川が増水しやすい時期のことで,一般的には前線や台風などの影響で雨が降りやすい6~10月頃を指す.河川が増水するときは,多量の雨が降るときであり,このようなときは土砂災害も懸念される.出水期は,洪水,土砂災害といった,いわゆる豪雨災害に注意が必要な時期である.
 
 豪雨災害時の被害にも様々なものがあるが,最も深刻なのは死者などの人的被害だろう.豪雨災害時にどのような犠牲者が生じているのか,実はあまり明らかになっていない.本稿では筆者が行った2004~2014年の豪雨災害による全国の犠牲者712人の集計結果から考えてみたい.
 
 まず犠牲者が生じた原因となった現象は,「土砂災害」が49%と最も多く,以下「洪水」18%,「河川」19%,「強風」6%,「高波」3%などとなる.ここで「洪水」とは川からあふれた水で犠牲者が生じたケースであり,「河川」とは,用水路の見回りや,川沿いの道を通行するなど,増水した川に近づいて亡くなったケースである.大雨でも川があふれていなければ大丈夫,という訳ではないことが示唆される.
 
 犠牲者の遭難場所を大別すると,「屋内」51%,「屋外」48%となる.原因となった現象別に見ると,「土砂災害」のみは「屋内」が大多数(87%)だが,他の現象では「屋外」が多数を占める.自宅などにいる人が避難することで犠牲者を減少させることが期待できるのは主に土砂災害で,他の現象については,むしろ激しい現象が発生している際に屋外で無理な行動をとらないことが重要であることが示唆される.
 
 犠牲者の年代を見ると,65歳以上が犠牲者全体の54%を占める.高齢化が進んだとはいえ,2010年の国勢調査で65歳以上の人口比は23%であり,豪雨災害の犠牲者は高齢者の比率が高い.しかし,日頃から介護が必要だったなど,いわゆる「避難行動要支援者」と思われる犠牲者は全犠牲者の4%ほどである.日常生活には特に支障の無い高齢者にも注意を向けなければ,高齢者への被害集中の改善は期待できない可能性がある.
 
 豪雨災害の犠牲者発生状況を精査すると,何となくイメージされる犠牲者像と実態の乖離に気づかされる.被害軽減のためには,実態を把握した上での対策が重要だろう.

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