内閣府防災 避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインの一部改定についての雑感
内閣府防災 避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインの一部改定(平成27年度) http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/guideline/guideline_2015.html
ガイドラインの検討に少し関わらせていただいた立場から,どうもこの改訂について誤解があるのではないかと感じていることについて,簡単にメモしておきたい.
ガイドライン40p
「避難勧告の発令単位としては、市町村の面積の広さ、地形、地域の実情等に応じて、市町村をいくつかの地域にあらかじめ分割して設定しておく。その上で、豪雨により危険度の高まっているメッシュが含まれる地域内の全ての土砂災害警戒・危険箇所等に対して避難勧告等を発令することが考えられる。この地域分割の設定については、情報の受け手である住民にとっての理解のしやすさ及び情報発表から伝達までの迅速性の確保等の観点から設定する。具体例としては、山や川を隔てた地域ごと、合併前の旧市町村、大字や校区をまとめた地域、東部・西部等の地域といったものが考えられ、各地域には複数(場合によっては単数もあり得る)の土砂災害警戒区域・危険箇所等が含まれることとなる。」
つまり,「市町村全域・全世帯に避難勧告」という荒っぽいことは避けて,市町村の面積等に応じてある程度の地域区分をしておき,その地域区分内のどこかで危険度の高いメッシュが生じたら,その区分内の警戒区域等に避難勧告を検討することが例示されている.
これは,土砂災害警戒区域等の,災害の素因にかかわる情報と,メッシュ情報を大くくりで組み合わせて,避難勧告に活用してほしい,という趣旨のはず.メッシュ単位で出せという話はどこにも書いてないはず.
また,すべての災害について【避難勧告の判断基準の設定例】の書きぶりが,「××のいずれかに該当する場合に、避難勧告を発令するものとする」から,「避難勧告を発令することが考えられる」に変更になった.「こう決まっている」と機械的に受け止めず,考えてほしい,という趣旨かと.
各自治体ごとに,使いやすい基準,やり方というものがあると思われるので,そうした自治体ごとの工夫や努力は大いに活用してほしい,という趣旨のはず.「こう決めたからこうしろ」という話ではないはず.
「市町村だけで考えろ」とも言っていないはず.国や県等の機関が助言にあたるべきことも挙げられている.実際うまく回るかどうかはわからないが,みんなで考えて行こう,という趣旨かと.
決して「これが完全版,みんな従え」という話では無いはず.いろいろな人の知恵を集めて,避難に関する情報がより有益なものになっていくことを祈念したいところ.
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