平成27年9月関東・東北豪雨に伴う犠牲者の発見場所現地踏査
9月22日,関東・東北豪雨により栃木,福島県内で生じた犠牲者6人の発見場所6か所をすべて踏査した.すでに整理した http://goo.gl/lB80g5 ように,原因外力でみると内訳は洪水4人,河川1人,土砂1人である.
6人のうち被災場所と発見場所がほぼ一致している人が2人,それぞれ別の場所だが位置が特定できた人が1人,発見場所だけが特定できた人が3人となった.
土砂は1人(栃木県鹿沼市)で,自宅裏斜面のがけ崩れにより土砂が屋内に流入してこれに巻き込まれたもの.崩壊の規模は幅約20m,斜面の長さ約30m.小さくはないが特別に大きくもないとでもいうべき規模.二階建ての1階部分の屋内は土砂で満たされたが2階はそのまま残っている被害形態.昨年から始めた当方の分類 http://goo.gl/13VLRy では「倒壊」とするか迷う形態.同一の崩壊で3世帯の住家が損壊し,最も被害程度の激しかった世帯で犠牲者が出た.
河川は1人(栃木県日光市)で,勤務先の駐車場付近で作業中に排水溝に転落したもの.排水溝以外の河川からあふれた洪水流に流されたものではない模様.
洪水4人のうち,鬼怒川関係の犠牲者は2人.常総市三坂の鬼怒川破堤に直接起因すると推測される犠牲者は1人,破堤現場近傍の家屋で,家屋自体は損壊したが流失はしていない.鬼怒川関係のもう1人は,三坂より上流側の越流氾濫による可能性の方が高そうな人が1人.あとの2人はそれぞれ別の小河川の氾濫(栃木県栃木市,茨城県境町)によるものと推測される.
鬼怒川関係犠牲者2人の発見場所は治水地形分類図では,いずれも鬼怒川近くの氾濫平野.小河川の氾濫による犠牲者は,台地の間の幅0.5kmほどの氾濫平野(一方は地形分類図では干拓地と表記).
洪水4人の被災時の行動ははっきりしない点も多いが,鬼怒川の2人はそれぞれ自宅屋外敷地内で作業中1人,徒歩移動中1人,他の2人は車移動中1人,自転車移動中1人と推定される.
自宅にいた所を洪水や土砂に見舞われた,いわば受け身で被災したのが2人,あとの4人は何らかの形で水に近づく行動をとった可能性もある.
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