災害発生後に発表される死者・行方不明者数の一般的な傾向について
今回の災害で最大の個人的関心事は,行方不明の方がどこでどのように生じてしまったのか.特に常総市で,発災から丸5日近く,ほぼ「行方不明」しか伝わってこなかったことはやや深刻な事態であると考えていた.結果的に「15人」と発表され続けた行方不明者は全員の無事が確認され,これは喜ばしい結果となった.このことの是非は別途考えるとして,ここではまず近年の日本の災害時における,発災後に発表される死者・行方不明者数の増減傾向について簡単にまとめておく.
近年の日本においては,公的に発表される自然災害の死者・行方不明者数の合計は,発災直後は次第に増加し,ある時点でピークを迎えてその後は減少し(関連死は別),やがて確定値に至ることが一般的である.そのピークまでの期間は近年の風水害では2,3日程度が多い.
東日本大震災は近年の災害としては特殊で,発表される死者(直接死)・行方不明者数のピークは発災から約1か月後だった. goo.gl/W1fZB1 2015年9月現在は,このピーク時から1万人前後減少している.死者数は次第に増えていくが,それ以上に行方不明者数が減少しているのである.
当方では風水害時の人的被害について調査を進めているが goo.gl/ofOW8 今回のような洪水災害では,土砂災害などと比べて行方不明となった方の消息判明が遅れるといった傾向があるかどうかは調べていない.ただ,これまでの調査から,明らかにそういう傾向があるという感触があるわけでもない.
今回の災害では,発災数日後に死亡が確認された人で,公的機関が行方不明者と把握していなかった人もいたことが報じられている(9月13日時事通信など).当方の調査では,1人暮らしの方などが行方不明になったと判明しないことがあること goo.gl/TC46NG を確認しており,事例としてないわけではないが,多くはない.
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