2017年6月29~30日の長崎県壱岐市での豪雨災害に関するメモ
2017年6月29日から30日にかけて,長崎県・壱岐島(全域壱岐市)付近で豪雨が発生した.島嶼部における実質的な大雨特別警報と言える「50年に一度の大雨」の情報や,記録的短時間大雨情報,土砂災害警戒情報が発表された本格的な大雨だった.
まず,これら情報の気象庁web画面を記録としてメモしておく. pic.twitter.com/XuBLKF8bzF
AMeDAS芦辺の1時間降水量と72時間降水量の推移.先行降雨がほぼ無い中で雨脚が急激に強まった形.降り始めが特に強かった. pic.twitter.com/HmQi2zX49G
AMeDAS芦辺の降水継続時間毎の降水量を,1977年の観測開始以降の最大値と比較.1~35時間は既往最大を更新しており,かなり怖いパターン.ただし48,72時間はそれほど大きくない.全国の最大値と比べれば大きくない. pic.twitter.com/3HOcb7UfqM
今回の豪雨による壱岐市の被害は,今のところ特に大きなものは確認されていない.長崎県の6月30日11時資料 goo.gl/Eesnyt だと,人的被害はなく,家屋被害は床下が「3箇所」.珍しい表現だが3棟と読み替えていいだろうか.
壱岐島での直近の風水害としては,1999年6月29日の梅雨前線豪雨によるものがある.旧芦辺町で斜面崩壊により1人が亡くなっている.総務省消防庁資料では,長崎県内で全壊7棟,半壊2棟,床上浸水45棟,内訳が不詳だが,6月30日西日本新聞記事などから判断すると,被害は主に壱岐島だったらしい.今回の被害はまだ変動する可能性があるが,1999年6月29日の豪雨時よりは被害規模は小さい可能性がある. pic.twitter.com/cruT0KYK0g
1999年6月29日のAMeDAS芦辺の降水継続時間毎の降水量を,2017年6月30日の記録と比較.1時間降水量は同等だが,他の継続時間ではいずれも今回の方が上回っている. pic.twitter.com/h667zMGXy1
1999年6月29日のAMeDAS芦辺の1時間降水量と72時間降水量の推移.このときは2日ほど前にもまとまった降雨があったことは2017年と異なっている. pic.twitter.com/4F6NRWNkCX
降水量の記録で見ると,今回の方が1999年6月29日より激しかったように思われる.それに対して被害は少なかったように思われる.人的被害だけでなく家屋被害も少ないので,避難等ソフト対策の効果,とは言いがたい.ではなぜか,というのはかなり難しく,多分調べてもなんとも言えなさそう.
ところで壱岐島では,1997年10月14日に竜巻による死者1人も生じている. pic.twitter.com/LdyDcuBYsb
竜巻の死者はごく稀で,気象庁の一覧 goo.gl/RwTthu でざっと見ると1990年代以降では1997/10/14壱岐の例のほかは,2012/5/6常総市1人,2011/11/18徳之島町3人,2006/11/7佐呂間町9人,2006/9/17延岡市3人のみである.
なお,1990年代前半以前の壱岐島での風水害事例については,手元ではよくわからない.
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