7/5の九州北部での豪雨災害の特徴(7/7時点)
7/5の九州北部での豪雨災害の特徴について,7/7/夜時点で考えていることを以下箇条書き的に挙げておく.まだよく見えていないことも多く,あくまでも現時点での頭の整理のためのメモ.
(1)主に山地河川での洪水や,土砂災害による被害が目立つ印象.2015年の常総市水害(平野部の大河川の破堤氾濫)とは様相が異なる.2016年の岩手,北海道の水害の方が近い.
(2)「昼間の災害」であることが特徴.夜の災害の怖さばかりが言われるが,昼は昼の怖さがある.夜は寝込みを襲われる,昼間は少し無理な行動をして遭難しやすいなど.ただし具体的な「昼間の災害」的な事例はまだよく見えていない.
(3)情報は全般に早めに出ていた印象.避難勧告も遅かったとは言えないのでは.ただし,事態が急速に進展した.台風とは異なり,段階的に備えることが難しいタイプの災害.「タイムライン的なもの」が万能ではないことについての一つの教訓となるか.
(4)記録的短時間大雨情報が多数出たことが最も大きな特徴.キロクアメが出ると6割で,複数出ると8割で何らかの災害となるが https://goo.gl/rWStXd,朝倉市では7回も出て,これはかなり異例なこと.このあたりがどう受け止められたかは関心が持たれる.
(5)一方,あまりにも情報が充実しすぎたという側面もありそう.たまたま気象庁「危険度分布」の運用開始翌日で,NHKでもさかんに使われた.これはこれでいいことだが,「なにを見たらよいのか」という印象はあったかもしれない.これは実態がどうかは検討が必要か.
(6)人的被害の傾向についてはまだほとんど様相がつかめない.山地河川の洪水による家屋流失や,河川付近で洪水に流されたケースもありそうで,少なくとも2014広島や2013伊豆大島のような「ほとんどが土砂災害」という状況ではなさそうという印象.
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