今回の台風21号では,太平洋側の広い範囲で高潮及び高波による被害が(大規模とは言えないが)各所で見られたようだ.静岡市内の沿岸部を本日10月24日に少し見てきた.
清水港周辺 goo.gl/F7Ucq4 確かに浸水痕跡が見て取れる.植え込みの所に浮遊したと思われる木などが.この付近は明瞭な防潮堤はなく,海から遮るものはない.ただし浸水痕跡が見られる範囲は限定的で,住家のある範囲に浸水等被害は確認できない.
由比漁港 goo.gl/xE3aSa 道路の舗装面が流失している.洪水などの被災地でよく見る光景で,浸水により舗装面の下まで水が入り,舗装面が浮き上がって流されたものか.この付近も,集落は高所または防潮堤の陸側にあり,住家には被害がない.
由比地区南側,静岡県内ではよく知られたビューポイント「さった峠」の麓.スマル亭というそば店 goo.gl/dmau2c が損壊.隣接する2棟の建物も海側に損壊が見られた.ちなみにスマル亭は静岡市周辺にいくつかある店で,格別うまくはないが私は好きである.
スマル亭隣接建物の損壊状況,コンクリート造なのか,壁面は損壊しておらず,柵?の一部が損壊.また,なにかの収容ボックスが基礎コンクリートごと倒れていた.
スマル亭の建っている位置の地盤高さは,海面からの比高約4.5m,地盤から約2.0mの防潮堤があり,さらに建物の海側にはもう1本高さ約2.0mの擁壁がある.地盤から約3.0m付近までの壁面が損壊し,建物反対側まで波が突き抜けた形跡が見られた.人的被害は確認されていない.
■当日の配布資料(2017/8/24公開)
静岡大学防災総合センターでは,8月4日に「平成29年7月九州北部豪雨による災害・現地調査速報会」を実施しました.速報会で,牛山が使用したスライドの抜粋・縮刷を公表しました.
福岡県東峰村宝珠山.位置図→ https://goo.gl/UiKihx 2017年7月15日踏査.日田彦山線筑前岩屋駅のすぐ北(というより場内)の土砂災害現場.土石流と言っていいだろう.谷の上流方で少なくとも2世帯分が基礎もろとも流失,写真手前左側の合流部対岸側で1世帯が基礎のみ残して流失.こうした典型的な土石流災害現場も少なくない.
朝倉市杷木星丸地区.位置図→ https://goo.gl/NsWvjV 2017年7月16日踏査.山地河川洪水により,この写真の範囲周辺だけで住家が少なくとも14世帯分流失.洪水によるこれだけの住家流失は珍しく,例えば平野部での堤防決壊に伴う洪水ではあるが,2015年常総市のケースでは全部で9世帯.山地河川洪水で集中的な被害が生じた2016年台風10号による岩手県岩泉町安家地区では11世帯.両事例とも,他には集中的な流失地区は見られなかったが,2017年7月九州北部豪雨では,こうした集中的な流失が1地区ではないことが特徴.