2018年4月11日中津市耶馬溪町金吉の地すべりに関する雑感
2018年4月11日早朝,大分県中津市耶馬溪町金吉地区で,大規模な斜面崩壊(地すべり的な活動と思われる)が発生し,死者,行方不明者6人の人的被害が生じた.本事例についての筆者の雑感をメモしておく.
中津市耶馬溪町金吉の斜面崩壊,急傾斜地崩壊危険箇所ではあるようだ.図中の+地点が発生位置付近.
国土交通省「重ねるハザードマップ」 disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=33.40…
地すべり地形分布図「耶馬溪」だと,崩壊した地点はそうではないけど,付近には地すべりの移動体として判読されている箇所がかなり見られる.
防災科学技術研究所 dil-opac.bosai.go.jp/publication/ni…
急傾斜地での現象ではあるけど,地すべり的な活動なのだろうか.しかし,亀裂などの前兆(匂いとか音という前兆じゃなくてもっと緩慢な前兆という意味)があったとしても,この位置関係では,その前兆を覚知しにくそうだ.
なお,大雨に起因する土砂災害の切迫時のいわゆる「前兆」については「それは前兆ではないので頼らんでくれ」と日頃から強く言っております.
地すべり的な活動なのだとすれば,先行降雨があまりない状況下でも発生することは珍しくないだろうな.類似のケースで人的被害に繋がった事例もありそうで,なんか頭のどこかにありそうだけど,すぐ思いつかない.
地すべりの起こりやすい地域というのは,土石流なんかに比べると限定されるので,「雨が降らなくても注意した方がいい地域」として漠然と注意喚起はできそうだけど,漠然とした情報ではある.
確かに直近の降水量はほとんど無い.
気象庁 www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn…
気象庁「3月の天候」によれば,3月の九州北部は降水量平年比136%で「多い」か.まあ,こういう長期降水量との関係は一般に不明瞭ではあるけど. www.jma.go.jp/jma/press/1804…
わかった.耶馬溪の事例と類似した,春先の地すべりによるまとまった人的被害の事例は,1974年4月26日の山形県最上郡大蔵村赤松の地すべりだ.死者行方不明者17人.警察白書 www.npa.go.jp/hakusyo/s50/s5…
「地すべり」Vol.11 No.2 www.jstage.jst.go.jp/article/jls196…
全然土地勘無いけど,比較的近隣の日田でも測候所時代には最深積雪深毎年7,8cm位あるんだね.このあたりの今頃は「融雪期」という見方をしてもいい地域だろうね.いわゆる融雪地すべり的なものだろうか.
「大分県土砂災害危険箇所情報」は私のような素人が読むにはなかなかレベルの高いサイトだったが,なんとか読めた.なるほど,今回の崩壊箇所は急傾斜地の土砂災害警戒区域及び特別警戒区域ですね. sabo.pref.oita.jp/bousai_s/dosya…
中津市の「防災マップ」nakatsu-bosai.jp/doc/%E9%98%B2%… では今回の崩壊箇所が特別警戒区域であることは反映されてないですね.「土砂災害ハザードマップ」nakatsu-bosai.jp/doc/%E5%9C%9F%…は未掲載のようですね.★これは批判ではありません★ これだけの情報を持って「周知していなかった」などとは言えません.
多分,意識してのことではないと思うし,ことさらに言わない方がいいかもしれないけど,中津市の災害に関する情報公表は近年の災害では考えられないくらい精緻を極めている.できればこれくらいの情報公表を許容して欲しいと思う.精緻に情報が公表されたことで,何らかの混乱が軽減された,といった事例になる可能性もあるかもしれないと思った.
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