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2019年5月27日 (月)

時評=警戒レベル4で「避難」-能動的な行動を促す

5月22日付け静岡新聞に下記寄稿をしました.今出水期から始まる風水害の「警戒レベル」についての簡単な紹介文です.

なお,風水害「警戒レベル」については,下記動画でも私見を述べています.
https://youtu.be/MP0cf8iNdag

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時評=警戒レベル4で「避難」-能動的な行動を促す

 市町村が出す「避難勧告」等については,内閣府の「避難勧告等に関するガイドライン」に整理されている.2005年の策定後たびたび改訂され,今年3月29日にも改訂版が公表された.

 今改訂では,避難の情報が「警戒レベル」という数値で整理されたことが特徴だ.「警戒レベル1~5」の5段階があり,数字が大きいほど危険性が高い.「警戒レベル」という新たな情報が発表されるようになったのではなく,既存の避難勧告などの情報が警戒レベル1~5のどれに位置するか整理されたと考えてよい.

 警戒レベル1は気象庁が発表する「早期注意情報(警報級の可能性)」,警戒レベル2は同じく「注意報」.通常の居住地域にいる人に行動の必要はなく,避難のための確認などの段階だ.警戒レベル3は市町村が出す「避難準備・高齢者等避難開始」.高齢者など避難に時間がかかる人や,危険性の高い地域の人はそろそろ避難を開始する段階.

 警戒レベル4は市町村が出す「避難勧告」および「避難指示(緊急)」だ.勧告と指示が一つのレベルであることが注目される.「勧告が出たが指示がまだなので大丈夫だと思った」などの声を聞くことがあるが,大変な誤解である.勧告の段階で相当危険性は高い.勧告,指示にこだわらず「警戒レベル4で避難」と理解してよい.

 警戒レベル5は,洪水や土砂災害などの発生が確認されてしまった段階.災害の発生は即時の確認が困難なことも多いので,警戒レベル5は「可能な範囲で発令」となっている.警戒レベル5を待ったり,出なかったことを批判するなどは見当外れと言っていい.

 警戒レベルとして整理された避難勧告などは市内全域で一斉に出るわけではない.危険性の高まった地区単位で出される.洪水,土砂災害の危険性がある地区はハザードマップなどで公表されており,日頃から自分の生活圏の災害の危険性を理解しておくことが極めて重要だ.また「避難=避難場所へ行くこと」ではなく,差し迫った危険から命を守る行動全般が避難行動であることも留意したい.

 ガイドラインは,様々な情報を活用した住民自身の能動的な行動の重要性を強く訴えている.被害の軽減は,我々自身の取り組みにかかっている.

 

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