2019年8月28日九州北部の豪雨 9月2日現地踏査雑感
●牛津川の越流関係
佐賀県を流れる牛津川では氾濫発生情報が出され,国交省資料では佐賀県小城市,多久市の3カ所で越流とある.なお今回の大雨では,他河川でも破堤は生じていない.これら越流ら起因すると思われる浸水範囲が国土地理院の浸水推定段彩図で示されている.
写真は佐賀県小城市小城町池上付近の牛津川の越流個所と思われる場所.国交省資料では「牛津川 12.2km 左岸」とある付近.堤内地側に草が倒れているが,堤体は侵食などの損壊は見られない.
位置:https://goo.gl/maps/kwbc9w5oJyTSf4Vn6
小城市小城町池上の越流箇所近くには,低地に盛土した道があり,この道ののり面が一部損壊.治水地形分類図,地形図を見てもわかるように,この付近では低地には基本的に家屋は立地しておらず,家屋の流失損壊は見られず,深い浸水の被害も明瞭には見られなかった.
治水地形分類図: http://maps.gsi.go.jp/#15/33.272741/130.167977/&base=std&ls=std%7C20190828_kyusyu_0828dansaizu%7Clcmfc2&blend=00&disp=101&lcd=lcmfc2&vs=c0j0h0k0l0u0t0z0r0s1m0f0&vs2=f0&sync=1&base2=std&ls2=std&disp2=1
このあたり,浸水想定区域で,計画規模でも2~5mとなっているから,想定外というような事態ではなさそう.
重ねるハザードマップ: https://disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=33.273875,130.163548&z=15&base=pale&ls=seamless%7Ctameike_raster%2C0.8%7Cflood_list%2C0.8%7Cflood_list_l2%2C0.8%7Cdisaster1&disp=01100&vs=c0j0l0u0
牛津川12.6km右岸の越流箇所(多久市東多久町大字別府付近)は,おそらくここ.こちらも洪水による家屋の流失などの被害は見られないが,低地に立地した家屋で浸水被害が見られた.なお,牛津川14.4km左岸の越流箇所は,よくわからなかった.
位置:https://goo.gl/maps/Ko4qQzJAxQFdaPgv5
牛津川の越流氾濫で,国土地理院の浸水推定段彩図で最も深い3m程度の浸水が示されている小城市小城町池上の山崎排水機場付近.有刺鉄線の上から2本目あたりまで浸水痕跡が見られ,簡易計測では右の畑面を0とした場合の浸水深は約3.5m
浸水推定段彩図: http://maps.gsi.go.jp/#14/33.271424/130.143288/&base=std&ls=std%7C20190828_kyusyu_0828dansaizu%7Clcmfc2&blend=00&disp=110&lcd=lcmfc2&vs=c0j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f0&d=v
ただしこの付近も低地に住家の立地は見られず,家屋の流失,倒壊などの被害も見られない.
治水地形分類図: http://maps.gsi.go.jp/#15/33.261352/130.178174/&base=std&ls=std%7C20190828_kyusyu_0828dansaizu%7Clcmfc2&blend=00&disp=101&lcd=lcmfc2&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s1m0f0&vs2=f0&sync=1&base2=std&ls2=std&disp2=1
浸水想定区域も,計画規模でやはり想定浸水深2~5m.「想定外」とは言えないと思われる.
重ねるハザードマップ: https://disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=33.261352,130.177624&z=15&base=pale&ls=seamless%7Ctameike_raster%2C0.8%7Cflood_list%2C0.8%7Cflood_list_l2%2C0.8%7Cdisaster1&disp=01100&vs=c1j0l0u0
●佐賀県武雄市武雄町武雄
武雄市武雄町武雄の武雄川付近で,通行中の車が流され50代男性が亡くなったとみられる現場付近.付近は国土地理院の浸水推定段彩図では浸水が判読されていないが,写真右手のごみ集積所付近で約0.8m浸水とみられる.手前が上流側だが,道路面の勾配は1度未満.また,家屋の損壊は全く見られない.
個人的に委縮があり,場所はピンポイントでは示さないが,大体このあたり.計画規模でも武雄川のすぐ近くは浸水想定区域となっており,大体想定通りの現象という感じがする.
重ねるハザードマップ: https://disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=33.184354,129.999923&z=16&base=pale&ls=seamless%7Ctameike_raster%2C0.8%7Cflood_list%2C0.8%7Cflood_list_l2%2C0.8%7Cdisaster1&disp=01100&vs=c0j0l0u0
こうした,洪水時に車や徒歩で屋外を移動中に死亡したケースは洪水犠牲者の半数程度,20年間で百数十人規模に上り,よく見られるもの.この現場の光景は,なんとなく平成27年9月関東・東北豪雨時の宮城県栗原市栗駒での同形態の被害現場(写真)に似ており,既視感の強い現場だった.
●福岡県八女市立花町山崎
こちらは福岡県八女市立花町山崎で,通行中の車が流され70代男性が亡くなったとみられる現場付近.川(柳川用水路)にかかる橋の付近で浸水深は道路面から約0.8m.
川沿いの道路を見ると上流側からわずかに下り勾配となり,少しずつ浸水深が深くなっていた模様.道路左手の住宅の敷地内はほとんど浸水はなかったとみられる.
この付近でも家屋の流失や損壊などは見られず,床上浸水などの激しい浸水もほとんど見られないように思われた.局所的な浸水と思われるが,静かに浸水が生じているのではなく,河川のすぐわきで流れがあったと思われる.気が付きにくい浸水とも思われ,洪水時の屋外行動の難しさを改めて実感した.
こちらもピンポイントの場所は示さないが,大体このあたり.やはり浸水想定区域である.
重ねるハザードマップ:https://disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=33.202795,130.574023&z=16&base=pale&ls=seamless%7Ctameike_raster%2C0.8%7Cflood_list%2C0.8%7Cflood_list_l2%2C0.8%7Cdisaster1&disp=01100&vs=c0j0l0u0
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